カズシン・ブログ

カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。

コロナ禍 昨今の不動産売買 市況

2020.12.19

昨今、コロナ禍の不動産売買の市況について

一般の収益物件の売買仲介を専門にしている同業者(不動産業者・東京)の話や私自身の感覚から

 

・1億円くらいまでの収益物件はすぐに売れるが、2億円前後くらいになると途端に売れづらくなった

 

以前は、2億円前後の収益物件に融資が付いてよく動いていましたが、昨今この価格帯が顕著に動きづらくなったそうです。

今でも、1億円くらいまでなら現金を持っている方も割といるのと、不動産業者が1億円くらいまでの物件であれば今でも買っている(買える)ため、このくらいまでの収益物件は(数千万円のアパートとか)売りに出すとすぐに売れる、ということです。

半面、2億円前後は在庫(仲介物件)が動きづらい状況が続いているそうです。確かに、先日インターネットのポータルサイトを見ることがありましたが、そういう感じがしました。

 

・土地(住宅用地)は高くても売れる

 

コロナ禍で、リモート勤務が続く中、広い家に移りたい家族の戸建住宅(建売)需要が伸びたことにより、建売業者が住宅用地を競争で探している。

土地を高く仕入れれば、建売価格も高くなるわけですが、それでも建売を購入したいという一般のお客様の需要はあるため、戸建用地が品薄状態。建売業者が仕入れる価格というよりも、業者が仕入れるのですが一般のお客様が市場に出た土地をご自分でお買いになるのと変わらないくらいの高値で動いているそうです。

 

賃貸アパート(賃貸マンション)用地も価格が強いな、と実感する場面があります。

土地は、戸建用地になる場合と賃貸アパート(賃貸マンション)用地のどちらにでも使える場合があります。

したがって、戸建用地が高くても動くのであれば、競合して、賃貸アパート(賃貸マンション)用地も高くても動くとなりそうですが。

 

賃貸アパート(等)に関しては、土地から買ってご自分で新築して長期保有する方で、今も求めている方がいます。

すでにたとえば1棟、土地から買ってアパートを新築し経営されているので、次で2棟目。借入の目途も付いている、というような方が1つのイメージになりますでしょうか。

一方、新築の一棟アパートとして売りに出た物件を借入で買われる方について言えば、融資付けの面から、以前のようにはいかないところもあります。そうなると、新築アパートを建てて売る業者は用地を高くは買いづらくなります。

土地を買って自分で建てて保有する方(不動産業の方もいます)、土地を仕入れて建てて売る業者さん。数字の入れ方や見方(目的)に違いがあるものです。業者さんに売るのでいい土地もあれば、少しゆっくりでも個別にお客様を探してみるといくらか高い価格で数字が入ってきたり。業者さんも得意不得意があるので、買える価格も違ったりします。

どういったところが一番高く買ってくれそうか当たりをつけて、売却活動するものですが、見当を付けられるかどうかというのが仲介人の経験であり、腕の見せ所の部分になるのでしょう。

 

土地が高いとなると、分譲マンション用地も高くて動くとなるのでしょうか。以前のようには高く買えない、エリアや条件を絞っているところもあれば、ぎりぎりまでがんばっているところ、ほどほどの価格で入手できているところなど、パターンがあるように思われます。

以前より、(高くても)買える(買う)ところと(安くないと)買えない(買わない)ところに分かれてきているような気がします。

 

2億円前後の価格帯の収益物件(一棟マンション・一棟ビル等)の融資付けが活況だった頃には、サラリーマン大家さんや一般の投資家の方々が中心になってどんどん購入されていたところ、不動産への融資環境が変化(「スルガショック」コロナ禍の前からになります)してからは、動きづらくなったと言えそうです。

そして、コロナウィルスの影響が広がって一層、こうした物件への融資が付きづらくなりました。

 

不動産業者が仕入れて修繕をして空室を埋めて市場に出して、サラリーマン大家さんや一般の投資家の方々に買ってもらっていた業者さんの中には、昨今の状況により、2億円前後で市場に出す物件から5億円以上の大型物件にシフトしているところもあります。

借入の必要がない、融資付けの心配や苦労がない富裕層向けに、舵を切ったということになるのでしょうか。

 

 

不動産売買の市況は、目に見えての部分もあれば、目に見えない部分もありつつ、私は確実に変化しているとみています。

変化はゆっくりなように見えて、そうでもない。

今後失業者がさらに増えて、倒産が増えていけば、以前よく売れていた物件が売れなくなったり、以前高く動いていた物件が動かなくなったり、注目される物件も変わってくる、という場面は出てくると思います。

 

ところで、ビジネスホテル、簡易宿泊所、民泊等は、供給過多となりオリンピック(2020年)が終われば淘汰されるところが出てくる。そう言われながらも、たくさんインバウンド向けの物件が作られました。

私は淘汰があると考えていました。あると考えていましたが。それにしても、コロナウィルスが先にやってきて。こんなに急速な事態があるとは考え付きませんでした。

インバウンド向けの物件は、たくさん売りに出てきています。需要がないところに供給が続いている感じです。

今後さらに増えてくると思われます。

それでも先見の明のある方がいて、いい物件は買っていかれることもあるでしょうが、お眼鏡に叶わない、基準に合わない物件は在庫(仲介物件)で積み上がるのではないでしょうか。

その先は、どうなるのでしょうか。

価格を下げてでも思い切って売り切るのか、あるいはいずれコロナ禍が収束するとして、そしてインバウンドが回復するとともに、営業で問題が解決するところまでたどり着き、売却する必要もなくなるという物件もあるでしょうか。

いずれにせよ、インバウンド向けの物件をコロナ禍において購入検討している方がおられましたら、売りに出ている物件の中でも、とくに訪日外国人に人気の観光エリアの物件を中心に指値を入れていかれるのがいいと思います。

観光エリアど真ん中という物件は今後も少ないでしょうが、そういう物件が出てきたら、長期的に見ていい物件、希少な物件を検討されたらいいと思います。立地のいい物件はやはり強いと思います。

 

インターネットでもいろいろ不動産の市況のニュースやコメントなどが出ていると思います。

私が書いていることとは違っているところもあるでしょうか。

昨今私が勝手に思うこととしてなので、分析や統計や、諸々の裏付けがあってのことではありません。

 

同じ不動産業者でも、また意見も違うものです。感じ方や考え方、発言の仕方も異なります。

 

皆さんは、どういうご意見をお持ちですか。

 

カズシン株式会社

代表取締役 山内和美