カズシン・ブログ

不動産業界20年を越えて この経験に基づく~物件論

資産を活かして日銭を稼げる「良い(いい)商売」・ラブホテル業について ~ラブホテル・レジャーホテル物件売買の現場から

2018.09.11

平成21年の春、著書『ラブホテル経営戦略』を「週刊住宅新聞社」さんから出版していただきました。全国の売りラブホテル・レジャーホテルを見て歩いた経験、オペレーター(運営会社)での経験などをベースに、「ラブホテル経営・運営・物件」について基本的な内容を書きました。

それから、およそ5年後の平成26年5月、再度、ラブホテル物件についての思いをまとめてみたくなり

題して

資産を活かして日銭を稼げる「良い(いい)商売」・ラブホテル業について ~ラブホテル物件売買の現場から

という文章を書いてみました。(自分なりのまとめであり、出版などはしておりません。)

『ラブホテル経営戦略』と同じように、新規参入したい方や、関心のある方にとって、役立つ内容になっているかと思われます。

ただ、『ラブホテル経営戦略』より、不動産業者としての取引の話が多くなっていると思います。

この文章をお読みいただいている方の中にも、新規参入をご検討中の方がおられるかもしれません。

初めての方が読まれるような文章を書いておりながら、恐縮ですが、ラブホテルを初めて買う方には、わたしは、物件の購入については積極的にはおすすめしづらいです。なぜなら、「買ったはいいけど」の後、立ちいかなくなるという失敗をしていただきたくないからです。(たとえ期待通りの利回りにならないとしても他の物件を持つより日銭が入るのでいいから、また仮に失敗したとしても本業の方が良くて痛手も少ないため乗り切れるような方、現実的かつ勉強されたお考えの方には、一概にこの限りではありません。)

それでも購入する方がいたら(最初は、誰でも「初めて」から始まります)、できることなら、いい物件に出会っていただきたいと思います。

どういう物件がいいのか、人(法人)それぞれ違うとは言うものの、やはり、共通するところはございます。

お時間がある方、興味がある方は、こちらをお読みいただければ、物件や取引について、イメージしていただけるかもしれません。

書いた当時から、すでに4年以上の年月が経っています。状況が変化している部分もあると思います。したがって、鵜呑みにしないでいただいて、読み物(お話)として読んでいただければと思います。

・ラブホテルの定義としては、法律上から言えば風営法の届出をしているホテルのことです。しかし、便宜上、この文章においては、カップルで利用するホテルについて、同様に「ラブホテル」という言い方をしています。

「ラブホテル」と便宜上同様な言い方をしていても、ラブホテルの届出が必要なホテルについて述べている場合、旅館業の営業許可をとることで営業できているホテルについて述べている場合があります。ホテルを購入されたり、営業をおこなう場合は、風営法や旅館業法の法令等を十分ご理解されることをお願いいたします。

・思い込みや情報の間違い、偏った解釈なども入っているかもしれません。ご了承ください。

・私が「思うこと」を書いています。私が経験したり、そう捉えたことがベースとなっています。したがって、実際には他の例や考え、反対のこと、私が経験していない、私の範囲にない事実などもたくさんあると思います。ご了承のうえ、お読みいただけますようお願いいたします。

 

資産を活かして日銭を稼げる「良い(いい)商売」・ラブホテル業について
~ラブホテル物件売買の現場から~著:山内和美(平成26年5月)

1. 豊かさに向かう時代で、ラブホテルは広がった

東京オリンピックが56年ぶりに開催されます。1964年が初めての東京オリンピック。日本中が楽しみにしている2020年にくる東京オリンピックは、56年ぶりです。

東京オリンピックの翌年、わたしは生まれ、日本の高度経済成長の歴史と重なっています。

日本は力強く変わっていきました。小学二年生の時に、田中角栄が首相になり、文字通り、日本列島大改造がはじまりました。急速に経済的に豊かに発展していったのです。

豊かさに向かう時代の中で、わたしは成長しました。

地方で生まれ育った私の家に、白黒テレビがきたのは小学一年生の時だったでしょうか。チャブ台の前に置かれたテレビで夕方のニュースを見ながら晩御飯を食べるという日常が子供の時の記憶として残っています。我が家では、晩御飯時には父親が見るニュースに家族全員が付き合わされていたので、子供番組やアニメは見られませんでした。テレビのチャンネル権を父親が握っていられた時代といえるでしょうか。

わたしの手元には、思い出をしらせるセピア色の写真があります。テレビだけでなく、写真も白黒からスタートしたのです。まだ若い母と一つ年上の兄と私。写真を撮るのが好きだった父がシャッターをきったものです。その後、写真がカラーに変化する時代となり、カラフルで豊かな日本、多様な豊かさを享受できる日本人の一人として、わたしは成長していきました。


高校2年生の頃、つまり、昭和56年~57年の頃。この頃、日本全国、バブルに突き進んでいました。
父が、「ラブホテルを建てたい」と言うのです。住まいは、四国の地方都市。贅沢だった車が庶民の物となり、道路もあわせて整備され、四国の地方都市にもいよいよ、国道あるいは県道沿いにカラフルなラブホテルが建てられていました。そこが大流行しており大儲けしていると聞いたそうで、父は、「ラブホテルを建てたら儲かるらしいぞ」と。

しかし、父はラブホテルを建築しませんでした。「建てたら儲かる」と言っていましたが、建てることはしませんでした。ラブホテル経営は、父が始めるにはハードルが高かったのでしょう。
このラブホテルの話をした後、実際に先祖から引き継いだ余剰の土地を売却したお金で買ったのは、中古の収益マンションでした。ラブホテルとなると、さすがに手を出せなかったわけです。

地方にこの頃波及してきたラブホテル、東京では、その10年前に広がりはじめたようです。

車社会、いわゆるモータリゼーションと関係し各地のインターチェンジでラブホテルの建設ラッシュになったということとは別に、たとえば有数のラブホテル街である東京の山手線「鶯谷(うぐいすだに)」駅周辺に次々ラブホテルが建ち始めたのも、昭和40年代後半に入った頃だったようです。

上野にできたラブホテルを見た女性が「これは流行る」と確信し、「鶯谷」で建ててみたのが、「鶯谷」におけるラブホテルの始まりになった(昭和30年代〜40年代)。そういう話も聞いたことがあります。
上野や鶯谷は、吉原にも位置的に近く、自然に遊びの文化が圏内にあるということになります。だからこそ(諸説あるでしょうが)鶯谷のラブホテルも大成功することになったのかもしれません。とくに、鶯谷は、JR鶯谷駅の目の前ではじまったラブホテル経営が周辺に波及する形で、拡大、発展していったのではないかと思います。そして、駅周辺の一帯が日本有数のホテル街となったのでしょう。(もともとこのあたりには、料理屋さんや旅館、踊りで有名なところなどもあったとか。鶯谷(うぐいすだに)は、駅の名前であり、地名としては、根岸(ねぎし)などが該当します。)

父は手がけませんでしたが、日本全国に、東京などでも成功しているラブホテルに興味を抱き、土地を活用し(商売替えした方もいるでしょう)ホテル営業を始めた方々が大勢いました。

ラブホテル街の形成のいきさつや言われは、各地さまざまですが、一つには、ラブホテルは隣の成功を確認したお隣さんや、隣の土地を見つけて自らも、ということで、同様に手掛けて、数が増えてきたのでしょう。だから、ラブホテルは固まりで、密集して建っています。ラブホテル街として一固まりなのです。建てれば儲かっているホテルを追いかけるように、近隣の地主や土地を持った方々、土地を買った方々などが次々に建ててきたのでしょう。(ラブホテルは建てられるところが決まっています。どこでも建てられるということではないので、必然的に、密集しがちになったという経緯もあるでしょう。)

ところで、渋谷は、石川県で旅館を経営していた方々がダム建設で町を出なくてはならなくなり、多くが渋谷の円山町に移ってきて、そしてその方々がラブホテルを建てて営業をはじめた、という話です。もちろん、石川県からきた方々だけではなく、ラブホテルの繁盛をみた渋谷に土地を持つ方々も、ラブホテルを建築し、一帯に数多くのラブホテルが立ち並ぶことになったということもあるのでしょうか。

このことからわかるのは、ラブホテルは、1軒が成功すれば、また1軒と増えてきたことで、一帯がラブホテル街として発展してきたということです。

主要駅の前や近く(商業地)ばかりではなく、国道や県道などでも、横並びに発展してきています。インターチェンジも同様です。

 

2. 資産を施設に。箱形ビジネスで利をとるラブホテルオーナー

呑み屋や飲食店が密集しているように、ラブホテルも密集しているのです。中には、ポツンと一軒だけ建っているラブホテルもあります。これは、住宅地などでよく見かけられます。自宅用地として人が住んでいる場所では、ラブホテルは次々とは建てづらいです。(法律で建てられない場所も多いです。)
ラブホテルは、余剰の土地に建てるのがそもそも適したビジネスであったというわけです。土地活用として良さそう、商売として実入りが良いと思われたということでしょうか。土地の有効活用です。
とはいえ、ラブホテルは家族経営的な業であり、建てればそれで終わりというわけではなく、オーナー自らが寝泊りする部屋をラブホテルの一角にもうけて実際にそこで生活をしていた方々がたくさんいました。24時間営業ですから、緊急時にオーナー自らがすぐに対応できる体制をとられていたのです。
ラブホテルのオーナーさんには女性もいますが、女性オーナーさんも身の回りのことを同性の親族に任せながら、ホテルに張り付きながらホテル業一筋で人生をかけてホテルを育て守ってきた方々がいます。

隣の土地にラブホテルが建ちそこが成功したのを見て自分も手掛ける、あるいは、現金を持った方が代替地として手に入れた土地にラブホテルを建てる。いずれにせよ、土地については、概ね所有していることが前提です。

あちこちで、ラブホテルを建てて儲けている例を見聞きした不動産業者が、地元の地主が遊ばせている土地にラブホテルを建てることをすすめる、そのような経緯で、発展したところもあるようです。たとえば、埼玉の岩槻インターなどもラブホテル街として多くのホテルが建っていますが、この辺のいきさつもこのエリアがラブホテル街として形成されたきっかけの一つになっているようです。

中国からの華僑や在日朝鮮人の方々もラブホテルを建てて経営されている方は多いです。資産を持ち、生かすことと、事業を手掛ける意味合いを兼ねてラブホテル経営を始めたのでしょうか。また、首都圏、地方を問わず、たくさんの方が大家業の延長にラブホテルを建てました。

事業として、また、大家業の延長として、ラブホテル経営に興味を抱き、ラブホテル業に参入し経営をはじめる資産家や地主は相当数に上ったようです。

最盛期には全国で4万軒ともいわれたラブホテルですが、現在では、淘汰の中で、2万軒台まで減っているようです。

さて、昭和50年代の後半に、父がラブホテル業に興味を抱いたことでもわかるように、ラブホテルは地方都市においても抜群に儲かりそうなビジネスであり、男女の性的な事柄に関わることからくる体裁の面への固執に縛られなければ、お金儲けとして大変魅力があると考えられていた商売でした。

平成2年にはじけたと言われるバブルの渦中にいたるまで、ラブホテルは、隆盛を極めたのですが、ラブホテルは法律と切り離せない商売であることから、その渦中においても生じていた変化というのもあります。

昭和60年、風営法の大改正がありました。それまではとくにそうしたことは問題ではなかったのですが、天井や壁に張り巡らされた鏡や回転ベッドなどがあると風俗営業の届出が必要になるといったことが決まりました。

風俗営業となると警察の管轄となりますから、それまでの保健所の許可だけですんでいたこととは違った面倒な事がたくさんあるのではないか、と考えたホテルオーナーはたくさんいたようです。

そして、風俗営業という言葉の持つ響きに、ネガティブなものを感じた方々も多くいたようです。ラブホテル経営は、土地を持つ資産家による投資の延長でもありましたので、「風俗」という言葉と重ねられることに対して抵抗感があったのでしょうか。

土地資産により収益を生み出す、箱型、施設型のビジネスですから、業種として風俗営業の括りに入れられることに対して、相当数のオーナーには躊躇があったのでしょう。

したがって、回転ベッドや鏡を取り除いて、風営法にかからないホテルとしての営業、「旅館業」営業でのいわゆるビジネスホテルと同じ許認可を選択したオーナーも多くいたようです。

ラブホテルは、業種としては風俗的な面との関わりを持ちつつも、現実としてオーナーは収益マンションやビルを同時に複数保有している方々も多いです。あるいは資産の組み替えをする中で、マンションやビルとラブホテルの割合を増減させている方もいます。ラブホテルは、資産の中の1つである、という方々もおられます。

世間的には、風俗営業として色眼鏡で見られることが多い業種のように感じますが、実際には、オーナーをみていますと、商売上手の経営者やマンションやビルだけでは飽き足らない地主や資産家、事業家が手を出す次の資産がラブホテルだったという面もあるように感じられます。

手を出す方とそうでない方がいる。わたしの父は手を出せなかったのですが、手を出せる方が始めるビジネスです。

手を出した方は、儲けるということに関して、おそらく、かなりビジネスライクです。男女の性的な事がおこなわれる場所であるラブホテルを営業することで得られる利益というものが、マンションやビルにテナントを入れ家賃をとることよりも割が良いことに利点を見いだせる方々です。

まして、ラブホテル経営は、経営手腕がいる商売です。お客さんが入れ替わり立ち替わり出たり入ったりするたびに料金の支払いを受ける日銭商売です。営業をまわすためには、従業員を雇用しなければならず、年中無休で毎日24時間営業をし続ける楽ではない商売です。

ラブホテルを持てば、運営会社に運営管理を任せることもできます。

しかし、ラブホテルの運営管理を運営会社に任せるということは、ある意味大家業に徹するということですから、わずらわしくはないものの商売のおもしろさを体験したりできないということ、そして、管理費を支払わなければならないので、手残りの利益がその分減ってしまうということになります。

もともと、ラブホテルを建てたり買ったりする資産家あるいは投資家は、資産を維持ないし増やすことを考えています。利回りの良さがラブホテルをあえて持つことの意味になります。そして、ラブホテルの経営というのは初めてのうちは大変ですが、勇気をもって始めれば、慣れれば、それほど難しいとも思えないものになります。日銭商売でお金が動くこと、不特定多数の顧客が出入りすること、従業員の雇用があること、等、マンションやビルの経営に比べるとたいへん手間や苦労がある商売ですが、極端に特別な技能を要するということでもないと思われます。運営ノウハウの優劣により大きく売上が左右されたり経費率に差が生じたりするビジネスではありますが、運営そのものは、やる気と時間をかけられる方であれば、慣れれば、おそらくできると思います。

そして、やり始めるととてもおもしろいビジネスです。がんばった分だけ、やった分だけ、考えた分だけ、返ってくる商売だからです。日銭の客商売のおもしろさがあるという意味です。月並みなビルやマンションの大家業で満足できない、やり手の資産家や投資家が参入してくる領域でもあります。

だから、大家業というよりも事業家としての興味からラブホテル経営者になる方も多いです。そして事業としてラブホテル業に参入するという点での意識が高い方は、運営会社に任せてしまうのではなく、ご自分でノウハウを蓄積していかれます。

運営会社はノウハウをたくさん持っていますので、活用することはわるいことではないですが、儲けた分をしっかり自分の取り分として残していきたいなら、ご自分でやられることを考えるようになるでしょう。

マンションやビルをご自分で管理される大家さんとそうでない大家さんに違いがあるように。ラブホテルの場合はより特別な営業ノウハウが必要なので、副業で楽に、というわけにはいかず、ご自分でやられるなら専業に近いくらい力を入れることが必要になってくる時があります。

そして、専業に近い、つまり事業の柱としてラブホテル経営をやってこられた方が全国にはたくさんいます。その方々が、世間一般で言われているところのラブホのオーナーの類型となります。

もちろんラブホテル業に新規参入する投資家(アパート・マンション、ビル投資から発展してラブホテル投資に進む方たち)の中には、完全に業務を運営会社に委託し、自分は投資家として利回りを得ることだけに徹するという方もいます。そのためには、その利回りが出せる物件とその物件の営業で利回りを確保できる管理会社とのセットが必要になります。

 

3. ラブホテルが他の収益物件と違うのは。融資が付かない理由

資産家といわれるが大家業では飽き足らず、儲けに対してビジネスライクな経営者。もちろん、これ以外の類型もありますが、端的に言い切るなら、このような表現になりそうです。
なお、これ以外の類型としては、不動産業、たとえば戸建分譲などを手掛けていた方が、ホテルは儲かるらしいということに興味を持ちホテルエリアに出たホテル向きの土地を見つけたことをきっかけに、ホテルを建築、営業開始、そして次々に展開。むしろ不動産業よりホテル業が本業に、などというケースもあります。

ラブホテル経営者、運営者は、業界内においては「ホテル屋」と自称しますし、「ホテル屋さん」こう呼ばれます。「不動産屋(さん)」が不動産を業とするように、ホテル屋さんは、ホテルを生業としているという意味です。

昭和のバブルの頃には、ラブホテルを開業すれば5年もあれば投資額が全部回収できた、と言われるほど、儲けたそうですが。バブル崩壊後の不況の影響もありますし、超高齢化社会ですから、今はそんなには儲かりません。
しかし、長引く不況で、淘汰が進んだ結果として、良いホテルは生き残りができていますから、良いホテルを持つことができれば将来的にも期待がもてます。

たとえば、今、ラブホテルを買うとします。土地から建てるのは難しいです。条例等により、ラブホテルの新規建築や建て替えは難しいです。仮に新規で建てられるところがあったとしてもラブホテルに適した立地であれば、およそすでにそこに建っているはずですから、建っていないところについては建築費が回収できるかどうか慎重に検討されるべきです。

たいていは既存ホテルを購入しリニューアルオープンして、営業を始めることになります。 既存ホテルを購入してリニューアルするということは、土地と建物を同時に購入し改装費を上乗せした投資をするということです。

自分が持っている余剰の土地に、建設費だけ借りるかそれも自己資金で出して、新規オープンしてきたという、昭和の時代のラブホテル経営とは、様子が変わっています。マンションやビルでもそうですが、土地が自分のものでその土地に建物のローンだけ付けて新築するならおおむね安心、安全と感じるのではないでしょうか。しかし、今は、土地建物ごと買って、改装費も付けなくてはなりません。

なぜ、改装費も付けなくてはならないかと言えば、市場に売りに出ているラブホテル物件のほとんどは、売上が低迷して売りに出るからです。あるいは、改装費を借りられず売りに出すこともありますし、改装費を借りられたとしても回収まで長引きそうでありそのくらいならもっとリスクの小さな、たとえばビル等の収益物件に買い替えた方がいいから、という理由のこともあります。大がかりな投資が必要な場合、資金調達して工事をしてしまうと、10年くらいは持たなくては回収ができないということがあります。2~3年で売るとしても、残りの7~8年分が売買価格に上乗せできるかといえばそれは割と難しいのです。だから大きな工事をする前に、工事をして10年保有するか、それとも今売るか、という選択を考えることになります。余計な資金は投入せず、今売却して資金を得た方が良い、という考え方のオーナーがいます。ほかの事業に資金が必要だから、売って現金化したい、現金化するなら工事をする前が良い、という事情を持つオーナーもいます。

土地建物の価値の算出の仕方は、ラブホテルの場合、とても特殊です。

通常の収益物件の場合は、土地の価値が重視されます。そして建物の残存価値の積算を基準に価格が決まってくる面があります。土地の価値に建物の残存価値を積算したものが基準となり、取引価格におけるかい離があまりないような物件もあります。収益還元で物件価格を決めるというよりも、土地の価値に応じて収益も決まってくるので積算でも収益性で見るのでも価格が重なる傾向があります。東京のJR山手線の駅前、政令指定都市のメインの駅近などは、土地の価格が高くなり、物件価格も高くなりますが、人口も多く、ビル、アパートやマンションなどの用途に適しているところが多いです。建物の残存価値が多く残っていれば長期的にその建物で利益をあげることができます。古くて木造であれば、建て替えを前提にしますのでその分価格は低めになります。金融機関から借入をするにしても、担保評価がはっきりしており、担保評価に応じて金融機関が貸し出す金額が決まってきます。投資するにせよ、融資するにせよ、投資物件として評価の仕方にルールがありますので、わかりやすい面があるのです。

ところが、ラブホテルの場合は、土地建物の積算価額で取引されることはあまりないように感じられます。
土地建物の価額はあくまで参考であり(といっても、土地の価値はやはり重視されます)、相場としては、主に収益還元法で買われるという感じです。収益還元法といっても、ラブホテルは投資を定期的におこなわなくてはならない装置産業ですので、現在の収益を維持するための将来予定される投資額も踏まえて、多方面から価格の根拠が検証されます。
ラブホテルではない一般の収益物件を買う場合も、投資家は利回りで買いますし、金融機関も収益があがっていない物件には貸し出しをしないとはいえ、ラブホテルは土地の価値に強くは縛られない特徴を持ちながら価格が決定していきます。一般の収益物件とは、投資の価値観が異なっています。

出店すれば売上が楽に見込めるホテルエリアの物件と、営業努力を重ねてもたいして売上が伸びないホテルエリアにある物件では、見方がまったく異なります。
収益ビルやマンションの場合も、テナントや入居者の募集がしやすい、あるいは賃料が高めに設定しやすいような場所にある物件は、評価が高いでしょう。その点は、ラブホテルも同様です。

ただし、ラブホテルの場合には、調整区域(新たに建物が原則建てられないため土地の価値がほとんどない)であっても収益力があるところは、取引価格が高く、土地の価値と切り離して、取引されている点で特殊性があります。

土地の価値に縛られず高値で取引される物件は、他にはそれほど多くはないでしょう。
ラブホテルは、その面においても、特殊な物件です。さらに言えば、土地の価値がない物件ということは、担保価値がないということにつながりますので、金融機関が融資をするのが難しい物件だということになります。
ホテルは営業で儲からなければ建物の価値はありません。しかも、土地の価値もないということになれば、担保価値はないに等しいのです。儲かっているからといって、土地建物の積算を大きく上回る金額を貸し出すことは、日本の金融機関の多くにとって基準に合いません。そのため、ラブホテルは借入ができないということで知られているのです。
なお、金融機関の多くがラブホテルに融資をしない理由は、そもそも担保力の問題というよりも、ラブホテルが風俗産業に括られるので、融資できる業種ではないということで一線を引かれているという事情もあります。
金融機関のほとんどは貸出先、貸出物件について、ラブホテルは原則除外です。
中には貸し出しているところもありますが、それはごく一部に限られます。

ラブホテルは営業物件であり、日銭商売ですので、業種としての利益がとれる仕組みが検証され、商圏やエリア分析等が担保評価の時にあわせておこなわれます。しかし、金融機関は土地建物の評価には慣れていても、営業の評価は簡単にはできません。
こうした事情もあって、ラブホテルに融資をおこなう金融機関はたいへん少ないのです。風俗営業ないし、それに近い業種であるという理由から融資をしないという大手銀行などもありますが、よくわからないから融資しない、あるいは融資をするとしてもリスクを計算するためとても高い金利になるので実需が引き出せない、など、コンプライアンス以外の面においても、ラブホテルの借り入れは、さまざまな課題をかかえています。

 

4. ラブホテルオーナーは自分のホテルがかわいい。苦労した分思い入れがわく

ラブホテルの評価が難しい、もう一つの理由としては、たとえば収益マンションであれば、隣に建っているマンションが、同じ内容、つまり、外観を含めて、建物の規模、部屋の広さ、築年、設備等が同じで、賃料も同じであれば、入居率にそれほど大きな違いはありません。
管理の状態によって、入居率が異なることはありますが、管理の状態だけで賃料そのものが大幅に変わるとか、売買価格が倍も変わるというようなことは滅多に起こりません。
明らかに、メンテナンスがわるすぎて、建物の価値を著しく落としているような場合には、修繕等の必要から、売買価格から想定される修繕費を差し引いたものが売買価格になるということはありますし、空室が多ければその分、売買価格は下がりますが、同じような物件で、倍も売上(収入となる賃料総額)が違ってくるということは、まずありません。

ラブホテルの場合は、隣と同じような内容のホテルなのに、売上がたとえば倍も違うということもありえます。同じような外観、お部屋、設備ですが、運営管理が違えば、大幅に売上が違ってくるということがあるのです。
では、運営管理というのは何を指すのかと言えば、お店の営業です。
飲食のサービスを良くしたり、お部屋の清掃にミスがないようにしたり、フロントの電話対応をよくしたり、料金と利用時間の兼ね合いを利用者のニーズに合わせて使いやすくしたり。そうしたことです。難しいことでなく、細かいちょっとしたところのことです。

ラブホテル営業は飲食店営業に近いと言われています。ラブホテルは休憩、宿泊と日に何回も回転します。一部屋あたり一日何回転させられるかでみます。飲食店は席数でみますね。一席あたり一日何回転させられるかでみます。

端的に言えば、回転しているホテルが儲かるホテルであり、人気のホテルであるといえます。飲食店も同じでしょう。

二軒ラーメン屋さんがあって、流行るか流行らないかは、うまいかまずいかの味の問題と料金の見合いでしょう。隣にホテルが立ち並んでいて、一日それぞれ何回転しているかによって、どちらが人気のホテルなのかわかるというわけです。
安売りをして回転をあげているホテルもありますので、一概に回転数だけでラブホテルを評価することはできませんが、目安としては、回転数でみるのが一番わかりやすいです。

飲食店の雰囲気や料金設定がうまい塩梅で顧客に魅力を感じさせ、リピート客が付けば、店は繁盛します。ラブホテルも同じです。利用客にとって魅力を感じさせる施設や設備であることはもちろん、適正な料金設定を追求したうえで、ソフト面も充実させる、たんなる箱型の施設提供だけではない営業努力が求められます。

ここのところが、収益マンションやビルとは異なるところです。家賃は月額であり、賃料は決まっています。管理会社がやることは、清掃や共用部分の電球替え、クレーム対応や、家賃の請求関係などです。すでに入っている入居者に対して、今月のみ家賃割引、などといったキャンペーンなどは通常おこないません。入居者募集の際にはサービスとしておこなうことはあったとしても、いったん、入居したら、積極的な攻めの営業努力で顧客をつかまえるというようなことはおこないません。

ラブホテルは、日々、毎時間が、この勝負です。リピーターに対しても、積極的な攻めの営業努力を継続しなくては、次に来店してもらえません。次回来店につなげるのが運営の腕の見せ所になるのです。

ビルやアパート、マンションと比べて、運営スキルが一層必要になるのが、ラブホテルの特徴です。そして、運営スキルの優劣によって、売り上げは大幅に上下します。 ホテルを所有し、かつ、運営も自社あるいはご自分でやられる方も大勢いますが、利回りが良いのでラブホテルを購入してその後の運営は専門会社に委託したいという投資家もいます。しかし運営管理フィーを専門会社に支払ってなお十分な手残りがあるということになると、相当程度の売上が見込めなくてはなりません。それこそ利回りがどうかです。

相当程度の売上が見込めるからこそ、ラブホテルの利回りは通常の収益物件より高いということになります。
だから、普通の収益物件で成功してきた投資家の方々が次に向かおうとする物件がラブホテルなのです。

しかし、そうはいっても、利回りがいい物件が市場にたくさん出回っているわけではありません。ラブホテル物件は水面下で取引されることが多く、市場に出ないうちに取引が終わっていることもあります。なぜなら、ラブホテルは、狭い範囲の中で限られた方々の間をまわっている物件だからです。

ラブホテルは営業物件であり従業員を雇用しています。売買されることがわかると、従業員も不安になって仕事のモチベーションも落ちます。従業員のモチベーションが落ちると、てき面売上も下がります。そうなると、悪循環が続いて、物件も売れづらくなります。そのことがわかっているオーナーは、市場に不用意に物件情報が流れることを警戒します。

また、長年経営してきたホテルを売るというのは、うまくいっていない、つまり儲かっていないから売るのだと思われるような気がして、体面上も避けたいという気持ちが働きます。

ラブホテル業界は狭い業界です。売ることを知られると「あそこはうまくいっていない」などと、いろいろ憶測されるような気がするから、自分で知り合いのオーナーに売却の話を持ちかけるということはしたくないと、あるオーナーは言っていました。顔見知りのオーナーがいても、自分からは直接、売る話はしたくないので、誰か仲立ちを通すことになります。
実際、オーナー同士が最初から売り買いの話をして成約することは思うほど多くはなくて、取引においては不動産業者など誰かがまとめていかないとならない類の物件だと思います。

普通の収益物件を売る時も同じような気持ちになることはあるにせよ、従業員の生活を背負っているラブホテルオーナーの方が、より一層複雑なところはあります。営業物件ですから、オーナーは、物件についても、従業員に対しても強い思い入れがあります。自分の物件は可愛いのです、それはアパート・マンションがそうであるようにラブホテルも同じです。あるいは、一般の収益物件よりもっと愛着がわく傾向にあるように思います。なぜなら、ラブホテルは商売だからです。日々お客さんにきていただいて営業で儲ける商売だからこそ、苦労も多かった分、思い入れも強くなりがちです。

だから安売りしたくないのです。自分が思っている価値を買主さんにも認めてもらいたいのです。自分のホテルをほめてもらうととてもうれしいのです。

とはいえ、物件は売りたい値段で売れることは稀です。相場というものがあって、その相場は、売主の希望価格満額ということは少ないです。買いたたかれる、と売主自らが感じられる状況に入ると、ラブホテルの売主は、売り止めにすることがあります。抵当が付いているので抵当がその金額でははずせないからという理由のこともありますし、そんなに安いことで言われないとならないなら売る必要も今はないということに判断が変わるからです。

日銭が入ってきますので、持っていれば持っていたで、やり繰りはつくのです。ただし、老朽化が進んで古くなったけど修繕費を借りてきて、また長期的な借金を負ってまで、ホテルをやるのはもうしんどいな、とか、後継者がいないのでそろそろ手離すことを考えなくては、とか、そういうことです。
今日、明日にでも物件を売らなくてはならないわけではないけど、これからはお金を投入して改装をするつもりはなく、そうなる時にはもう売ってしまおうかな、と考えているオーナーさんがいるということです。
また、借入が多く残っている方の中には、返済が苦しくて、売ってチャラにできるなら手離したいという方もいます。そうした方は、たいてい、中古物件を購入すると同時にフルリニューアル改装をおこなったものの、予想(予定)したラインまで売上が届かず、見込み違いになってしまったという方が案外多いように思います。

 

5. 若者のドライブデートからデリヘルの定着。ラブホテルは時代とともに

安く物件を買ったつもりで、かつリニューアル投資で売上を大幅にあげられるつもりが、見込みがはずれてしまう例は割とあります。売上はあがったものの、リニューアル費用が過大であり長期にわたるためその返済負担に耐えられず、経営を断念することもあります。
リニューアルした当初は売上があがっても、5年もすればまた再投資(リニューアル)したいところ、というのがラブホテル経営です。返済額は一定で長期にわたるのに、売り上げが返済途中で落ち込んでしまうと、当初の計画通りにはいきません。いかに、売り上げを継続して長く維持できるかというのが分かれ道になります。

だからプロの運営会社が活躍できる場もあるということです。

信用できて実力のある運営会社だからこそ維持できる売上額と、素人商売で経営する場合の売上のレベルには差があって当然です。とはいっても、未経験の方が楽観的な見込みで当初適切とは言えないリニューアルの仕方をした場合、金額をかけ過ぎた場合および、改装のポイントのずれが一定以上になっている場合は、いかに運営会社がプロとはいっても、回収を保証していくことは難しいです。売上はけっこうあげたとしても、採算としてはとれないという最悪のことが起きうるのです。

利回りの良い物件を買いたいがために、ラブホテルを購入したのに、これでは本末転倒になります。市場に出ている物件で売上が良い物は当たり前ですが、価格も高く、利回りの面で魅力に乏しい。そうなると、売上が低くても改装投資によって売上があげられそうな物件を購入し、リニューアルオープンするということになります。
ラブホテルは、改装をすればてきめん集客力を増しますので、売上もあがり、収益はアップします。したがって、この方法は適切かつ王道なのですが、将来どうなるかの予測はなかなか難しいので、ちょっと博打のような買い方になってしまいます。

大きな改装費を投入して見込んだ売上があがらなければ、次に、期待するような価格で買ってくれる買い手はいません。失敗が許されないのですが、案外失敗されます。

それは、改装すれば売上があがるという改装神話のようなものがラブホテル投資の場合、浸透しているせいかもしれません。そして、儲けようと思えば、そこのところを手掛けないといけないのですが、見込み違いということになることが案外多いところなので気をつけないといけないところです。

立地の良いラブホテル物件であれば、手を入れれば、みごとに復活し、売上が何倍にもなるというようなこともよくあります。しかし、仮にそうなったとしても、採算ラインにのるかどうかはまた別問題となります。そうなるかどうか、またいくらで買えば、後々いけるのか、といったことは、これはプロでないと正確には見抜けません。

プロであっても見間違うこともあります。ラブホテルのエリアは流行りすたりもありますので、一昔前に集客力がある立地が、今もいいとは限りません。 とくに、モータリゼーションの波にのって発展してきたインターチェンジ型の中には、一部落ち込みが目立つホテルエリアも見受けられます。若者の車離れが進む中、ドライブデートというものも減ってきているのでしょう。

若者の車離れのほか、少子高齢化の問題もあり、ラブホテルの需要については高度経済成長の時の「建てれば(お金をかけて改装すれば)入る」、というような状況ではもはや無くなっていると思われます。 ラブホテルはシニア向けの産業ではもともとありませんので、利用者として多い年齢、20代、30代、40代の人口が減っているということは、産業としては楽観してはいられないのです。

一方、法規制によって新築が難しいです。それは既存のホテルの既得権の価値が高いということです。建てられないことによって、過当競争を防いでいる面もあり、需給のバランスを一定の範囲で維持していることにもつながっています。

高齢化の問題を抱えている半面、じつは、結婚しない男女が増えて、意識のうえでも、40代、50代がまだまだ若い、という変化が起きています。

いまのたとえば50歳代前半の方は、高度経済成長とともに大人になりました。バブルのまっただなかで大人の仲間入りした層であり、華やかで贅沢なものに惹かれる特徴的な価値観を持っています。
高級車を好み、海外旅行でバカンスを過ごす、遊びが上手で、ブランド物が好き。親は戦前、戦中の生まれであり、貧しさの中で成長してきたため、子供には物質面で不自由をさせたくないという思いが強かったため、物欲を満たす子供を肯定してきている面がありました。高度経済成長にのって、子供に自分とは違う生き方ができるよう精いっぱいの環境を整えてこられました。
というわたしも、この50歳代前半の層に該当します。価値観としては貧しさよりも豊かさが落ち着くものの、その後のバブル崩壊から長期的に続く不況の中で、自制しながら生きざるをえないという現実で生活に追われ年を重ねてきました。

わたしたちの世代が、これからシニアになっていきます。景気が良くてラブホテルも繁盛しており、駅前の繁華街にあるホテルはもちろん、ドライブデートではインターチェンジにあるホテルも、わたしたちの世代が若かった頃には、身近な物として利用してきています。
結婚すると利用することも少なくなるものでしょうが、その後、デリヘルが大きく発展してきたため、ラブホテルは安定的な経営ができる、ある意味、固い商売になっています。
そうです、それだけ、ラブホテルにとって、風俗利用の顧客の割合は大きく、デリヘル利用を抜きにして、ラブホテル経営は語れない、といえるのです。

 

6. ラブホテルの顧客のタイプと回転。ラブホテルは休憩で稼ぐ宿泊業

カップル利用、それが不倫であっても未婚の男女同志であっても、まして、結婚を約束した関係であれ、街でナンパされたその日のことであっても、すべて、カップル利用とみます。
カップル以外が、風俗利用のお客さんです。大まかに言えばデリヘルとその顧客です。

ラブホテルの顧客は、大きく分けて、カップルと風俗利用に分かれます。
その割合のどちらが大きいかは、そこのホテルエリアの立地やホテルの運営コンセプト等によります。また、ホテルのお部屋の広さや利用料金等によって、風俗利用の顧客向けに適するホテルは、自然とそちら側の割合が多くなります。
ホテルオーナーさんやフロントさんが、「うちのホテルはカップルがほとんどだから」という時は、デリヘル利用の割合が多くはないホテルだということです。それとは逆に、「うちはデリさんがけっこうきている」と言えば、カップルだけではなくデリヘル利用が3割とか半分近いホテルだということです。ほとんどデリヘルで回転しているホテルというのもあります。

驚くことに、東京のターミナル駅の、あるラブホテルは、一日10回転とか多い時には12回転しているそうです。一部屋が日平均12回利用されているということ。12回転とすると、ここが14部屋あるので、14×12=168組のお客さんが一日で利用していることになります。通常のビジネスホテルが一日一回転であることに比べると、ラブホテルが回転しているということのすごさが想像していただけると思います。

一日12回転するためには、1回平均2時間利用はできません。2時間利用だと清掃の時間がとれないからです。ショートタイム90分、出たら清掃、この繰り返しで、12回転です。
さすがに深夜は動き(入退室)が少ないですから、実質は12回転させるためには清掃に30分もかけられず、ちゃちゃっとやっていかないと、こなせません。

90分ではなく、60分制にしてより短時間でお客さんが入れ替わっている立地もあります。これは、その地域のニーズによるのと、ホテル側の運営の戦術によります。

ちなみに、デリヘルの基本となる時間制は、関東と関西でも異なるようです。また、同じ東京内においても、立地によって異なります。それに連動するような形式で、ラブホテルのショートタイムの時間は設定されています。

60分、90分、120分、このあたりの区切りが多いです。ショートタイムのほかに、休憩、宿泊の設定があります。休憩は基本休憩3時間、4時間、5時間くらいがよく見られます。この時間を超過したら30分単位で延長料金がかかります。基本休憩のほかに、フリータイムまたはサービスタイムといって、この時間からこの時間までの間であれば何時間いても同じ料金にすることで、日中の暇な時間の集客方法の1つとして、長居したいお客さんを引き込む作戦もとられています。宿泊は、ビジネスホテルのように午後3時チェックインとはいかず、早くても平日午後5時、一般的には午後8時くらいからのチェックインになるところが多いです。休日前夜であれば、午後10時くらいから宿泊が適用され、それまでは休憩客で一回転させておきます。

休憩で2~3回転、宿泊で1回転。毎日3~4回転するイメージです。
日中2組、夕方からのお客さんで泊まらない1組、そして宿泊1組です。日中2組のうち、1組が基本休憩あるいはフリータイムのお客さんで、もう1組がショートタイムあるいはデリヘル利用のお客さん、夕方からの休憩客、これで休憩が3組です。もちろん、3組の休憩が入らず1組、2組というホテルもありますが、反対に、休憩だけで10組を超える前述のようなホテルもあるわけです。

回転が極端に良いホテルは、デリヘル利用ですから、短時間で入れ替わりますので、清掃する時間もないくらいです。入れば出るが、出待ちをしているお客さんもいるくらい、出たらすぐに入れなくてはなりません。出入りの繰り返しで、空いている時間がないから、ゆっくり清掃する時間はありません。回転数の多いホテルはどうしても室内、設備等の傷みも早く、損耗が激しくなります。回転が多いこと自体は良いことなのですが、故障すれば入れ替えなくてはならず、利益からしっかり経費を予定しておくべきです。故障しても直さない、壁紙等の汚れが目立っても張り替えない、そういうふうにしておくと、いずれはお客さんも離れていきますし、料金も一層下げないと集客ができなくなります。

かといって、回転がわるいのでは、そもそもラブホテルを経営する意味がないです。飲食店にラブホテルが似ているというのは、まずここのところです。席数を何回転させられるか、というところが、ラブホテルではひと部屋何回転させられるかということになるのです。
居酒屋がランチでも売上を立てているのは、席を遊ばせておくのが惜しいからでしょう。昼の人件費をかけても利益がとれるからランチをやるのでしょう。あるいは儲けというよりも、ランチをやることが宣伝代わりになるという場合もあるなど、いずれにせよ、なにかメリットがあるからだと思います。
ホテルはもともと宿泊のための施設ですから、ビジネスホテルもラブホテルも宿泊をとることは当たり前です。宿泊と同じか、あるいはより積極的に休憩をとるかで、ラブホテルのラブホテルたるゆえんがあるわけです。
ビジネスホテルやシティホテルにもデイユースがあるではないか、とよく言われますが、ビジネスホテルやシティホテルではあくまで宿泊が主体であり、デイユース客はプラスアルファとして。
ラブホテルはもともと休憩でまわすことの発想で発展してきています。休憩システムが経営の根幹に組み込まれており、収益も休憩システムから成り立っています。ラブホテルの中には、宿泊システムをもたず、24時間休憩システムだけで、回しているところもあります。
宿泊システムを作らずとも、何時間休憩制と延長料金で、料金システムはできあがります。また顧客もその時間・料金のシステムに違和感なく、使い勝手もわるくないのです。

7. ラブホテルに向くのは。それぞれの顧客タイプ

収益物件のスタンダードである、賃貸アパートやマンションが2年契約で、月額賃料払いなのに比べて、特殊な投資物件として位置づけられているラブホテルは、短時間の時間貸しで収入が入ってきます。日銭商売といわれるところです。
とはいっても、駐車場の月額と時間貸しのパーキングで、どちらが儲かるかと言えば一概には言えません。時間貸しで常時ニーズがあるパーキングであれば、時間貸しの方が儲かるでしょうが、立地によっては、月極めで固定し、安定収入を得た方が賢明の場合もあるでしょう。商圏の問題もあります。競合の有無も考慮しなくてはなりません。

この地には収益ビルがいいのか、アパート・マンションがいいのか、収益ビルのテナントの業種は何が合致するのか、アパート・マンションはワンルームが良いのか、ファミリータイプに需要があるのか、そういうことを考えて、建物を建て賃貸経営をするでしょう。

ラブホテルにも適した立地というのがあります。新規で建てるのが難しいため(建てられる場合もあります)、既存のホテルを購入することに。既存のホテルのすべてが、ラブホテルに適した立地に建っているかといえば、そんなことはありません。たとえば、昔はそこが適した立地であったとしても、今は顧客離れが進んでいて、人気がないホテルエリアかもしれません。
反対にショッピングセンターなどができて、人出が増えて、楽に集客できるエリアになっていることもあります。(人出が増えて、人目に付きすぎることがマイナスに働くこともあります。)

駅前型、インターチェンジ型、ロードサイド型、ホテルの立地は、大きくこの3つのタイプに分かれます。駅前型のいいところは、人出が多ければ、その分、人の流れの中で、集客がとれるところです。呑み屋などの繁華街が近くにある場合、人出も多いし、利用客も増えます。お酒を呑んだ後、利用するカップルも多いですし、繁華街のことですから遊びのお客さんも多くてデリヘル利用も多いということになります。

新宿歌舞伎町や渋谷、池袋など、大きな繁華街の近くにあるホテルエリアの中にある店は、案外出入りする姿を見られることに抵抗がないのですが、全般的に、ラブホテルを利用するところは見られたくないお客さんが多いです。だから、ラブホテルはメインのところからひと筋裏に入っているものの方が良かったりします。人目につかずさっと入れてさっと出られるのがいいのです。さらに欲を言えば、入口と出口が別の通りに面しているものなどは良いです。お客さん同士が鉢合わせしないですみますし、カップルのうちの一人は、入口から店に入り、もう一人は出口の通りの方から入るといったこともできるからです。

ラブホテルにとって適した道路付けは、メインの通りのほかに、別の通りに抜けられる敷地形状になっているものがあげられます。1か所、贅沢言えば3か所くらいあれば、リピーター確保に有効です。メインの通りにあるので視認性はたいへん良いが、出入りが目立ちすぎて敬遠されるホテルもあります。住宅街などが近いと人目が気になるのでなおさらです。

出入りが目立たないように、ラブホテルは入り口のところに目隠しになるような遮蔽物を工夫したり(禁止されている場合はしてはいけません)、車で来る場合には俗に言う「ビラビラ」(ビニール)を垂らしたりしています。

目立たせないためのこのような工夫のほかに、無人で部屋へ入れるようにしているのも同様の「人に見られたくない」という顧客の心理をくんでのことです。 ところが、入口に遮蔽がなくてオープンだったり、フロントに受付の従業員が座っていたりするホテルがあります。
これは、ラブホテルのように見えますが、その多くは法律上においては、ラブホテルではないホテルなのです。ラブホテルというのは、風俗営業の届け出をしたホテルです。風俗営業の届け出をしていないホテルは、「ラブホテル」ではないということです。
同じようにカップルやデリヘル利用のホテルであったとしても、そこのところが違うということです。

売買においては、風俗営業は新規にとれないことがほとんどですので、会社売買にして営業権付で買います。代表者変更の手続きで、引き続き営業できるからです。
風俗営業がいらない場合は、通常の土地建物売買で取引をするケースが多いように思われます(不動産取得税がかからないメリットなどがあることにより、会社売買とするケースもあります)。風俗営業ではないにせよ、ホテルは旅館業等の許可がないと営業できないので、その営業権は新規に自分で取得します。風俗営業の管轄は警察(風営法の届出以外に、旅館業の許可も必要になります。)ですが、旅館業等の管轄は厚労省(保健所)です。
対価を受けて人を宿泊させる施設は、この旅館業等(ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業)の許可が必要です。風俗営業のラブホテルももちろんこの旅館業等の許可を取得しています。そのうえに、風俗営業の届け出を出しているのです。旅館業は「許可」、なのに、ラブホテルは「届出」というわけは、国は、風俗営業のラブホテルについて許可制にしていないからです。あくまで営業者が届け出をして、要件に合致しているので、その届出を警察が受理した、という体裁となるのです。

では、風俗営業の届出をしているラブホテルと、していないラブホテル(法律上は、ラブホテルとはなりませんが)では、どちらが、「儲かる」のでしょうか。
どちらが「儲かる」ということは一概には言えません。そのホテルエリアがどのような客層をもっているかにもよります。ホテルエリアによっては、風俗営業の届出が受理されないところもありますので、エリア全体が風俗営業でないならば、競合上、そのことが問題となることもありません。競合で考えるならば、同じホテルエリア内で、同じようなホテルの内容で、風俗営業であるか、ないか、ということです。
たとえば、地方のホテルエリアで、たいへん人目を気にする方々が想定する顧客であるならば、出入りが人目につかず、フロントが無人の方が好まれるでしょう。しかし、大きな繁華街にあるホテルエリアであれば、かえって、人目は気にせず、フロントが対面式であっても集客に影響は少ないでしょう。

 

8. ラブホテルからレジャーホテルへ。ビジネスホテルにはない快適で楽しい時間が過ごせる場所

風俗営業がとれる(新規は非常に難しいです。ごく稀にとれるところもあります。)ホテルエリア、およびホテルというのがあります。一方、とれないホテルエリア、とれないホテルというのがあります。とれるからいい、とれないからわるい、というようなことではなく、そのホテルがあるホテルエリアがどのようなところなのか、また、そのホテルの内容がどのようなものであるのかがポイントになります。

デリヘルすなわち風俗客の需要がとんでもなく多いホテルエリアでも、風俗営業をとっていない、とれないところもあります。どこもとっていなければ、とくに競合上の問題にはならないでしょう。

また風俗営業の届出をしていない、いわゆるラブホテルでないラブホテルは、野立看板や案内看板等が特段の規制なく出せることも多く、その分での集客上のメリットが見込める場合もあります。看板での誘導が集客上優先的に必要な立地であれば、風俗営業の届出をしないことを選択することが、より賢明になることもありえるということです。

(半面、看板以上に、フロント対面をおこなわないことの方が営業上のメリットが大きいと判断されれば、集客のための看板は諦めて、風俗営業の届出を優先する場合もあります。)

運営のやり方としては、風俗営業のホテル経営ではなく、ビジネスホテルやシティホテルと同じような感覚で、オープンなフロントとして、対面接客をするホテルもあります。そして、明るい雰囲気で、開放的にすることで、出入りしやすい感覚を作り出しています。とくに、若いカップルに好まれるようなホテルに多いです。お部屋も清潔で快適、テレビ等の設備も最新のものが入っており、食事サービスなどのソフト面も充実している、このようなホテルは、後ろめたさを感じさせないレジャーの場の一つであることも理由の一つとして、「レジャーホテル」とも呼ばれています。(ラブホテルという呼び方のもう一つがレジャーホテルと呼ばれることもあります。)
そうしたところは、食事やスイーツなどにとても力を入れていて、部屋で食事もできるから、デートがホテルだけですんでしまうのでは、と思うくらいに、内容が充実しています。

風俗営業のホテルは会社売買になりますから、簿外債務の問題を気にして手を出さない方もいます。また、コンプライアンスから風俗営業のホテルはだめという場合もあります。投資家が風俗営業ではないラブホテル(ラブホテルではないラブホテル)にしか投資をしないので、ということを背景に、運営会社が風俗営業以外での運営スタイルを確立できてきた、などということもあります。金融機関が風俗営業には融資をしてくれないから、ということが理由になっている場合もあります。あるいは、風俗営業よりかえって、オープンな運営手法でやる方が集客するにもやりやすいというそちらのノウハウをもっているから、という場合もあります。

「目黒エンペラー」というきらびやかなホテルが昭和50年代の終わりに一世風靡しました。風営法の大改正が昭和60年にあり、回転ベッドや鏡張りのままでの営業ができなくなったことをきっかけに、そして、バブルの崩壊を経て、華やかで豪華な非日常を体験できたホテルから、「マイルーム」すなわち我が家のようにくつろげるホテル、日常の延長として気軽に利用できるホテルへと潮流が変化しました。
カップルが性行為をおこなう場所から、くつろげる場へと、運営の内容も変わってくるとともに、カップルの意識にも変化がおこってきたのです。

たとえばDVDで映画を見たり、食事をしたりして、くつろぎながら二人きりで過ごす空間。デリヘル客がショートタイム利用する一方で、若いカップルはフリータイムを活用して半日休憩料金で過ごす、というように、ラブホテルのハデさ、毒々しさが消えて、シティホテルは高くて泊まれないカップルもラブホテルなら財布に優しい、ビジネスホテルだと味気ないし部屋やお風呂が狭くて落ち着けないけどラブホテルのお部屋はきれいでお風呂もジャグジーで快適。シティホテルでもなく、ビジネスホテルでもない、ラブホテルだからこそ満足できるという顧客のニーズをしっかり拾い上げてきた、このことが、ラブホテルがユーザーを確保できている一因であると思います。


顧客に楽しい時間を過ごしてほしいというラブホテル業界の人たちの考え方も反映して、レジャーの場としてホテルを作り込んできた業界内から発して、それまでのラブホテルという呼称が時間を経て「レジャーホテル」という一つの呼び方として浸透していったのではないかと想像しています。

 

9. レジャーホテルへ進化。女子会、アニメのコスプレ撮影や女性一人利用まで。

平成16年、わたしがレジャーホテルの運営会社に入社することになった時、『レジャーホテル』ときいて、たとえば『リゾートホテル』のようなものかと想像したような記憶があります。そのくらい、当時において『レジャーホテル』という言葉は、まだ一般的ではなかったように思います。
その後、『ラブホテル』(休憩システムを重視する宿泊施設)が『レジャーホテル』とも呼ばれるようになりその呼び名の通り、レジャーホテル(ビジネスホテルが仕事で利用されるのに対して、レジャーホテルはレジャーで利用される施設)がレジャーというキーワードにかけて利用される施設として、ある程度認知されてきているという感覚を持っています。

男女のカップル利用(風俗含む)だけではなく、女子会利用やコスプレ(アニメ)撮影など、多様な用途で利用されることがあります。

レジャーホテルには、お部屋ごとにテーマがあったり豪華な調度品で目をひいたりしますので、写真撮影などするにもいいのでしょう。大きなテレビやDVD(ビデオオンデマンド)があったり、大きなお風呂でリラックスできたり、カラオケが付いていたりします。食事のメニューも豊富で、休憩利用で、日中、友達で利用しても、女子会がてらお昼のフリータイムで利用してもその延長で宿泊しても、十分楽しむことができる(レジャー)内容になっているところ(ホテル)が多くあります。高齢者がお茶飲み友達同士、フリータイム利用(半日でも)でカラオケを楽しむこともニーズとして出てきているように感じます。

レジャーホテルへの潮流の一つの源泉が、ラブホテルであることを考えると、ラブホテル業がシステム作りをしてきた宿泊施設の『休憩システム』(回転)こそが、レジャー(遊び・楽しみの場)とうまく合致するシステムであったことが推測できます。
ホテルというのは、靴を脱ぎ、ベッドで横にもなれ、一緒にいる人たちだけで時間を過ごせるなどの点において、飲食店で団らんしたり、カラオケスナックで歌ったり、映画館で映画を見たりといった過ごし方と比べると、プライベートが保たれ、ゆっくり落ち着いてくつろげる時間が過ごせる場であると思います。

女子会やコスプレ撮影(アニメなど)で利用されることも多くなり、メディアなどでもそうした利用があることを取り上げられている『レジャーホテル』(ラブホテル)ですが、空間をプライベートに利用できるというホテルの利点の中でもとくに休憩利用(回転)に強みがあるラブホテル(レジャーホテル)が、今後さらにこのあたりのニーズに貢献できる可能性は十分あると思われます。使った時間だけの料金で、あるいは半日低料金で使えるフリータイムの利用で、チェックインチェックアウトも自由な時間でかまわない、ラブホテルが培ってきた365日24時間営業のスタイルが、時代のニーズや人々の価値観に合致し、認められるのではないかと期待も込めてですが、そのように思っています。

女性の一人旅や出張においてさえニーズは引き出せると思います。仕事の都合などで女性一人が夜中に現地入りするような場合、飛び込めるホテル(ラブホテル・レジャーホテル)があれば、いちいちホテルを予約する手間もなく、どこへでも何時でも出向けて、使い勝手の良い分、とてもたすかると思います。
わたし自身、たまに一人でラブホテルを利用しています。休憩利用することもありますし、宿泊することもあります。リサーチや引渡し前の現況確認等を兼ねて、ですが。普通にお客さんとして一人で行って断られることもなく、普通に利用できます(中には一部断られるホテルもあると思いますが)。
お風呂(入浴やサウナなど)好きなので、ラブホテルの広いお風呂やサウナ付の部屋は格別うれしいものです。入浴剤が数種類置かれているところもあり、至福のひととき。このような体験をしています。

飲食の提供も遅い時間までやっているホテルが多いので、夕食を食べ損ねて夜中にホテルへ入っても食事もできるのもたすかります。また、広いベッドで両手両足を伸ばして、伸び伸びと眠る、とういうのも良いものです。

女性一人で入るのは多少勇気がいりますが、女性も男性と変わらず仕事で出張がある人も多く、一人旅を気の向くまま楽しむ人もいるのですから、時間を気にしないでその時すぐに利用できるというラブホテル(レジャーホテル)のシステムは、とても合うのではないかと思っています。こうした利用が一般的なものとしてこなれてくるまで、利用を躊躇する(勇気がいる)意識も付いて回るでしょうが、一部のニーズとしては引き出せるのではないかと考えています。半面、受け入れるホテル側としては、女性一人ということになると、なにかあった(失恋とか?)のではないか、トラブルにつながるのではないかという心配もなくはないでしょうから、どの程度まで、ニーズ喚起に働きかけるかなど、課題もあるのでしょうが、これからできればより一層取り組んでいただきたいところです。

家族旅行においても、旅先で気にせず何時でもチェックインできることの使い勝手から、利用する方々もいるでしょうが、家族旅行でも抵抗なく使えるホテルとして、より好意的にレジャーホテル(風営法のホテル、すなわち法律上のラブホテルは18歳未満の子供の利用はできません。)が認知されていくことが望まれると思われます。そのためには、ホテル経営者や運営会社等のより一層の地道な努力も必要ではないかと思います。

また、東京オリンピックに向けて、宿泊施設が足らないということで、ビジネスホテルはもちろんラブホテルも同様、宿泊施設としてのニーズは高まっていると思います。とくに、東京や政令指定都市の駅前などではその傾向は強いようです。地方の人の来ないようなところにはその傾向は今のところ感じられません。

 

10. ラブホテルとシティホテル。楽しいのはどっち?

ところで、他人がセックスしたベッドで寝られますか?レジャーホテル・ラブホテルでは避けては通れない疑問です。シティホテルやビジネスホテルでもセックスするカップルはいるのでしょうが、また、デリヘルがくるホテルもあるのでしょうが、全般的に性的な事を第一の目的にして利用されるわけではないので、ラブホテルのように、この点が気になることは少ないのではないでしょうか。このことを、わたしもレジャーホテル運営会社の新人だった頃、上司にきいたことがあります。「そんなこと気にしていたらラブホテルは使えないでしょう」というのが答えでした。そうなのですね、そういうことが気になる方は、もともとラブホテルへは行かないということになりそうです。
シティホテルへ行かれるということになるわけです。

ラブホテルに誘われるより、シティホテルへ連れていってくれる方がうれしいという女性の話を時々週刊誌等で読みます。また、そう言う女性の知り合いも身近にいます。ラブホテルでと、いうことは大切に思われていない、シティホテルへ連れていってくれる方が自分の価値を認めてくれている気がする、ということのようです。ラブホテルというのは、手軽で、思いついた時に飛び込めばいい。誰にも詮索されずに誰にも会わずに、薄暗い中部屋へ到達し、ドアを開けると大きなベッドが一番に目に入る、そういう空間であるとすれば。一方、シティホテルは優雅にロビーを歩いていけば、よく教育されたフロントが丁寧に対応している姿が心地良い、お部屋もジェントルマンとレディを歓迎するよう品の良い調度品が置かれている、だから、シティホテルの方がいい、そういう気持ち、わからないでもないです。しかし、ラブホテルは、入りたい時に入って、出たい時に出られる融通がきくところが便利です。夜中の3時にだってチェックアウトして何の気兼ねもいらないのですから。お風呂も二人で入るように作られています。カップルでいちゃつく時間を過ごしてもらうために考えられたお部屋、設備と仕様、だから、快適で楽しい時間が過ごせます。

わたしの20歳の頃、バブルの真っただ中では、クリスマスイブには彼が予約してくれたシティホテルで過ごす、というのが流行りました。親のすねかじりの学生も、当たり前のように何万円も出してシティホテルに泊まったものです。当時、豪華なラブホテルもありましたが、多くの女性の気持ちとしては、シティホテルのステイタスが喜ばれたのです。当時、ラブホテルの中には、シティホテルに負けないくらい高い料金の豪華なお部屋もありましたが、女性が誘われて正直うれしいのはシティホテルの方だったようです。
今も、シティホテル並みの料金のラブホテルもありますが、シティホテルも安くなったのと同じように(東京オリンピックに向けて宿泊料金は高くなっているようですが)、ラブホテルの料金も手頃なところが多いです。けっきょく、どちらを選ぶかは、彼と彼女の価値観になるでしょう。

ところで、シティホテルでないといやだという女性がいる一方、行くラブホテルは女性の方が選ぶというカップルもいます。気にしない女性がたくさんいるのです。楽しく過ごすこと、その価値観であればラブホテルは合ってくると思います。いろいろなお部屋があって、選ぶのも楽しいものです。また、デートの中の1つのイベントとして、ラブホテルを選べば、いつでも到着した時間に気軽にチェックインできるので時間に縛られないので便利です。

ラブホテルは時間単位での空間を貸すことで商売をしています。時間単位で料金が設定できるということは、シティホテルのように1組のお客さんのために1日部屋を空けておく必要がないということです。空けば次々に、次のお客さんがくる時間を気にせず今入ってきたお客さんを入れていけば、その蓄積したものが日々の売上になるのです。
ラブホテルも予約をとるところが増えてきましたが、平日の空きが多い宿泊に限っているところが多いです。ほっておいても満室になる休日前夜に予約をとってしまうと、その予約客のために、その前の時間から休憩客をとらないように調整をしなくてはならないので、儲けが減ってしまう可能性が高いからです。1組でも多く部屋が空いている時にはお客さんをとりたいラブホテルとしては、1組のお客さんを予約で確保したがために、1組のお客さんを入れられないということになると、逃した1組が惜しいですし、お客さんにもわるいなと思ってしまうのです。

ラブホテルは女性も選びますが、やはり男性も目星を付けているものです。彼が選ぶのであれば、シティホテルでもビジネスホテルでも、ラブホテルでも、清潔で、彼女が喜び二人でいて楽しめるホテルを選んであげてほしいです。極端に安いと、部屋が狭いとか、とても汚れているというようなこともあります。お財布の事情にもよるでしょうが、料金というのは質にともない設定されているのが基本ですから、あまり安いということは「わるい」ということになりがちです。
それは、皆さんよくご承知のようで、連れて行く相手や相手との関係によって、ホテルも変える方が多いようです。
よく言われるのが、ラブホテルの利用に関して、「記念日」(バースデーなど)の利用は高いところで、日常は安いところで、ということがあります。だから、店としても、記念日にラブホテルを利用してくれたカップルにはサービスとして飲み物や食事を無料で提供するなど、おもてなしの気持ちを伝えているところも多いです。

 

11. ラブホテルは改装と運営改善で売上がアップする

お客様は料金に敏感です。ラブホテルの場合、時間制と料金が連動しているので、若干わかりづらくなるのですが、顧客というのは、内容と料金が見合っているかどうか、意味のない値上げがなされている、そうしたことにはすぐに気がつくものです。
だから、リニューアルをしてから料金を値上げするなどしないと、中身の伴わない値上げをしてしまうとお客さんが離れてしまいます。改装投資して時間をかけて回収するというのが王道です。どうしても料金を上げたいのだけどリニューアルもできない、という場合は、せめてアメニティ(消耗品)は豪華にしていただきたいです。品数もそうですが、内容もグレードアップしていただきたいです。「アメニティはお部屋の華(花)」ということが言われますが、その通りだと思います。そして、清掃の徹底です。最低限この2つは実行してから、料金の値上げには踏み切っていただきたいところです。そうしないと、せっかく長い時間をかけてリピーターを作ってきたのに、一気に引かれてしまうことが少なくないからです。

ラブホテルは的の合った改装をして運営を改善すれば、びっくりするほど売上が改善します。それは立地が良いところであれば、わずかな期間で回収が完了するくらいのてきめんの効果があります。立地がよくない、つまり、もともと集客力に弱いところでも、そのホテルエリアの中で一番店になれれば、他の店からお客さんが流れてきますので、やはり売上はあがります。ここで大事なのは、改装だけではなく、運営も改善することです。改装だけでは効果が一時的なものとなり、中長期的な売上アップの維持が難しくなります。改装だけでは、飽きてしまって、もとの古巣のホテルにお客さんは帰っていきます。改装したホテルは、回収するためには、料金も高めに設定しなくてはならないですから、目新しいうちは利用してくれたお客さんでも時間が経つとつなぎとめられず、元のホテルに戻してしまいます。これに運営の改善が加わるケースでは、お客さんをリピーターにすることもできます。おいしい食事や、きめ細やかなサービス、お得なポイントシステムなどで、ビジターのハートをしっかりつかんで売上を安定的に底上げすることに。ここがラブホテル運営のもっともノウハウのいるところだと思います。
改装を効果的におこない、運営内容の見直しをプラスすることで、ラブホテルの売上は伸びていきます。儲かるホテルは改装投資と運営改善のバランスが絶妙です。

ところで、ラブホテルが儲かるといいますが、では、ラブホテルはどのくらい儲かるのでしょうか。ラブホテルは1室あたり並み~並みの上くらいのホテルで、一室(月40万円~)50万円くらいの売上があります。昭和のバブル崩壊後の長期化した不況においても、そのくらいの売上があがっていたようです。
昭和のバブルの全盛期には80万円、100万円と売り上げるホテルがわんさとあったということです。バブルが崩壊して、日本経済が暗く落ち込む中レジャーにお金を使う人が減り、使える金額の範囲も小さく、ラブホテルもご多分にもれず、長引く不況のトンネルの中にありました。それでも一室月50万円、有数のホテルエリアでは一室月60万円、そのホテルエリアの中で上から数えられる人気店は、80万円超を継続してきております。

仮に一室50万円売り上げるということは、30日として、一日一室約17000円、休憩料金が4500円×2回転、宿泊料金が8000円×1回転。平日と休日では料金も回転数も異なりますが、平均するとこのようなイメージです。平日がたとえば2回転 休憩料金4000円×1回転=4000円、宿泊料金6000円×1回転 合計1万円 休日が休憩料金5500円×3回転=16500円 宿泊料金8000円×1回転 合計24500円 その平均で17000円のようなイメージです。

ラブホテルは平日料金と休日料金が異なります。休日前夜の宿泊料金は休日料金となり、平日の宿泊料金より高くなります。ラブホテルが回転するのは休日です。休日の休憩は、平日の休憩よりも回転します。だから、平日はゆっくりできる時間設定でも、休日は短めの時間設定で、お客さんを無駄なく回転させて、売上をあげます。

これが一室あたり月80万円くらい売り上げる上クラスのラブホテルだと、日平均5回転くらいするのです。デリヘル客オンリーでショートタイム回転させるホテルだと、毎日10回転もすると言われる驚異的なホテルもあるのです。

一室当たりの売上に部屋数をかけて、1カ月の売上をベースに、そのホテルの収益性を判断します。基準としては1室あたりの回転数ですが、月あたりの全室売上の数字をもとにそのホテルの収益力を見極め、年間あたりの売上をもとに、利回りを計算するのが一般的です。

回転数が高くても部屋数が少なければ、総売上には限度があり、繁忙時にお客さんを入れきれなくてもったいないことにもなります。かといって、部屋数が多すぎても、平常時に空室が出て、せっかくの部屋を遊ばせてしまうことになりもったいないです。
一般的には、20室~30室くらいのホテルが効率は良いようです。

よく回転するホテルで室数が少ない場合、「あと何室か部屋があればなあ」とオーナーさんは言います。とはいっても立地が良いところで売りに出るホテルの数は多くないので、立地優先で考えると、部屋数まで希望通りに選択することは難しいです。また、部屋数がちょうど良くても、利回りが合わない強気な価格で売りに出されているホテルであれば、見送らざるを得ないわけです。

いつもいっぱいにしておきたいなら、小さな規模のホテルでもいいでしょう。小さな規模を日に5回転させるのと、大きめなホテルを日に3回転させるのとどちらがいいかというのは、購入した価格、すなわち利回りでどうかということも含めて答えがあるので、一概には言えないのです。しかし、大きな規模のホテルで、半分くらいの部屋数でだいたい足りるような状態なのでフロアーごと閉めているような場合には、やはり、無駄が多いということになるでしょう。こうしたホテルを売出価格が安いからといって買ってしまったら、売上と部屋数のバランスがわるくて、たとえば、1室あたり1回転など、延べ平均すると、稼働率がわるいホテルですから、無駄が多いわけです。建物は修繕がかかりますし、維持費もかかります。またフロアーごと閉めているようなホテルは、索漠としている人気(ひとけ)のない雰囲気が否応なく感じさせられて、ますます、集客が遠のくという悪循環にもなるものです。

 

12. ラブホテルの価格は。利回りは。月売上の30ケ月分?                           

ラブホテルの稼働については、1室あたりの回転数でみますが、ラブホテルの売買取引の価格については何でみるのでしょうか。
当たり前ですが、利回り、そして1室あたりの価格、でみます。1室あたりいくらで買うか、現状の個別ホテルの収益を抜きにして、そのホテルエリアの立地の優劣を評価して、だいたいの相場というのがあります。ホテルエリアとして、またそのエリアの中でも、稼げる立地にあるホテルは、たとえ売り出し時に売上が低迷していても、また建物の老朽化が進んでいたとしても、イメージにすぎませんが、1室あたり2000万円くらいする感じです。15室のホテルであれば、3億円くらいはする感じということです。30室なら、6億円でしょうか。概算ですが、土地建物の売買代金総額がこのくらいの数字になる場合があるという意味です。(それ以上になるケースもあるということです。)

ホテルの場合、売買代金総額を部屋数で割って、1室あたりいくらで買うか、ということを計算します。

根拠の1つが1室あたり何回転させられるか、です。ホテルエリアによって、ある程度決まってきます。回転数が決まれば、あとは部屋数×(かける)で、そのホテルの売上が出ます。ホテルの売上がでれば、いくらで買えば、利回りがいくらになるかがはじけます。

利回りから逆算して、月額売上の、たとえば30カ月とか、35カ月、つまり月額売上×30、あるいは月額売上×35 の売買価格までで購入すれば、ほしい利回りに合ってくるということもあります。利回りNETで20%ほしければ、表面で40%必要とみて、3億円で買って表面利回り40%になる物件といえば年間売上が12000万円。この物件が月1000万円売り上げていれば、表面利回り40%、すなわちNET20%くらいになるとみます。このホテルが20室であれば、月1000万円の売上ということは、1室あたり月50万円のホテルとなります。1室あたり月50万円のホテルというのは売上としては標準的なラインか、良い方です。(ただし、売買市場に出されるホテルは、月売上30万円、良くて40万円くらいのホテルが標準的です。購入と同時にリニューアルして月50万円まで上げるという例が多いです。)そして20室というのも、大きすぎはせず特別小さすぎもしない標準の範囲です。では、表面利回り40%、NET利回り20%で物件が出ているかといえば、実際のところは、表面利回り30%、NET利回り15%くらいのところが落としどころです。
となると、上記の物件は、3億円ではなく、4億円くらいになります。室数が20室でなくて、15室であれば、1室あたり売上約67万円ですが、その場合も、利回りとしては同じように、表面30%でみていく感じです。
実際の取引では、もっと個別性をみて、成約に至る取引価格はきまっていきます。たとえば土地の担保価値、評価、将来の利用価値等も価格を左右します。ホテルエリアの人気の有る無しによっても売買価格はそれぞれ相場があるものです。
しかし、第一基準として振り分ける時には、1室あたりの回転数、1室あたりの月売上、部屋数、この3点をおさえておくとスムーズです。そして、利回りとしては、表面30%、NET15%。ただし、直近では、不動産市況が活発になってきた影響もあり、NET12%くらいでの高値での取引も増えてきています。
売上額全体が少ない、たとえば月売上が1000万円を割り込んだホテルだと、表面利回りはよくても、経費率が高くなっている場合がほとんどですから、手残りになる分はそれほど多くはないことが多いです。
ちなみに、土地価値のある都心や人気のホテルエリアではせいぜいNET15%ですが、郊外や地方へ行くとNET18%、20%が相場になってくることも。(融資環境が楽になり売買市況が活況になると、地方でもNET15%程度までの取引となってきます。)

月売上が500万円のホテルと、月売上が1500万円のホテルでは、1500万円くらいまとまって売上があるホテルの方が経費もおさえられ利益率が高いという傾向にあります。
月売上が1500万円くらいあれば、表面利回り30%であれば、NET利回り15%くらい見込める場合が多いです。もちろん、経費をかけて運営しているホテルもあるので必ずしも、売上が良いホテルの利益率が高いとはいえず、逆に売上が低いホテルは経費を限界までおさえているから売上も低くなっているということの結果につながっているようなケースでは、売上の割には経費率がそれほど高くなっていないという場合もあります。
傾向としては、都心のホテルは経費率を低く(たとえば40%~60%)抑えられていますが、郊外や地方のホテルはサービスを充実させるなどの必要性もあって、経費率が高く(60%~。場合によっては70%以上)なることが多いように見受けられます。

ラブホテルを買うとき、NET(実質)利回り15%以上を希望される方がほとんどです。NET15%以上のほか、月全室売上の30カ月くらいで買いたい、という方も割合多いです。ホテルが高い時には、30カ月では買えなくて、35カ月とか40カ月が相場であるなどします。また立地が良いところでは、40カ月~50カ月が相場になることも。
売上や経費だけではなく、修繕履歴や今後の改装の有無、修繕費用の目安等を加味しながら成約価格はきまっていくわけですが、現状の売上という目に見える数字がもつ意味合いは大きいです。なぜなら、現状の売上が極端に低迷しているホテルの場合、改装投資をして売上をシミュレーションしようにも実際にそうなるかどうかは結果論となるからです。

安くラブホテルを叩いて買ったつもりでも、売上アップのために、改装をしたけど、結果的に採算としてはたいしてうまみがなく、もっと安く買わないとわざわざ買った意味がない、というようなことは実際には多いのです。こうしたことはラブホテルに限らず、土地の仕入れや再販用の投資用物件の仕入れなどに関してもよくあります。建物を建てて売ろうにも土地の仕入れが高すぎてたいして利益が見込めなくなってしまう、中古マンションをリノベーションして再販で利ザヤを抜こうと思っていたものの思うような価格で売れないということなど。しかし、ラブホテルは、中古マンションのリノベーションと比べると、はるかに見込み違いが起こる物件です。

中古のマンションであれば、賃貸であれば家賃の相場、売買であれば成約価格というのが決まっています。多少の前後はあるにせよ、相場をかけ離れるということはありません。しかし、ラブホテルは、月1000万円の売上を見込んでいたのが、700万円にしかならないとか、1200万円になった、といったように、幅が大きいのです。
立地が良ければ、それでもそう下にはずれることはありません。なぜなら空いている部屋がないほど常時回転するホテルであれば、部屋数によって、当然にして売上の上限がきまってくるからです。いくら売上があがるホテルエリアの一等地にあるからといって、10室のホテルであれば、月100万円×10室=1000万円以上の売上をあげることはまず無理です。月100万円ということは1室あたり1日約3.3万円です。客(組)単価平均7000円として5回転弱。狭い部屋でショートタイムだけでまわすホテルになれば、客単価がさがって回転があがるという仕組みになりますので、客単価4000円として約8回転。平均8回転というのはほぼ限界です。それ以上になると、ミスのないすべての条件が予想以上にうまく一致したということの結果となるでしょう。しかしそのような成功事例もあるのがラブホテルのすごいところ、魅力的なところです。デリヘル利用でショートタイム90分、客単価3000円をきる設定で10回転するということもあります。ショートタイムで回転し続けるということは、部屋、設備の損耗は激しく、メンテナンスを適宜入れていかなければ施設の価値の減少は大きく、いずれは、もっと安い料金で集客せざるをえなくなり、結果的に売上が下がる可能性が高いです。回転数がよければそれだけで一番良いといえない点はそこにあります。広いお部屋で、普通の料金設定で、普通の回転数で、建物の傷み具合も大きくないやり方で、ホテルを経営、運営するというやり方もあります。また、いずれのやり方をとるのがもっとも適切であるかは、そのホテルの立地やお部屋の広さや、運営者が得意なやり方がどちらであるか等によって、振り分けられてきます。

広くて豪華なお部屋を安売りしてショートタイム3000円で提供していたら、物件の購入費や改装投資費用との採算が合いません。採算の合う料金で提供し、回転させなくてはなりません。採算が合うかどうか、読むためには、また読み違わないためには、マーケティングが不可欠です。デリヘル客だけのショートタイム需要しか見込めないところで、シティホテル並みのグレードをもつホテルでシティホテル客とかぶる顧客層を取り込もうと思っても、当然ですが、原則そのようなことは不可能です。

とはいっても、狭い部屋ばかりだと、高い料金はとれません。ホテルの部屋の広さが異なる場合には、高い料金がとれるカップル客向けのお部屋とショートタイムの安売りで回転させるお部屋の混合として提供の仕方を変えます。高い料金をいただくお部屋はお風呂をバブルバスにしたりテレビを大きなものにしたりアメニティやガウンなどを上等なものに。安売りで提供する部屋は、お風呂も狭くて普通の給湯だけ、アメニティなどの備品も最低限に、といったことで調節をします。

 

13. ラブホテル投資は自己責任。現地調査で物件を見極めること

いずれの部屋も狭くて立地もショートタイム向けということになれば、全室ショートタイムでひたすら回転させていきます。顧客層に応じて、運営方針を立てなくてはなりません。そのために事前のマーケティングがとても大切なのです。
デリヘル需要が多いホテルエリアであっても、一定のカップル層がくることも多いです。その場合には、部屋の内容や運営方針に添って、カップル客を呼び込める内容、料金設定をします。カップル客向けの部屋はカップル客用に、デリヘル客向けの部屋はデリヘル客用に、このようにお部屋と顧客層がぴったり一致すれば、無駄のない良い経営ができます。
そのあたりのところは、商売の勘所でありますが、この勘所を支えるのが、事前の現地調査、マーケティングです。見なくても、現地へ行かなくても、ある程度はわかりますが、それはあくまである程度の推測であって、現地で現物を見てみることによって、周辺を歩いてみることによって、諸々にリサーチをかけることによって、推測のずれを修正し、確信への一歩を踏み出す。
ラブホテルを買うとなると、現状売上がとても気になりますので、現地へ行く前から、数字の資料開示を先行して求めたくなるものです。数字が良ければ、魅力的であれば、その次に現地へ行こうかと。あまりに数字がわるければ行く気も失せるというのはもちろんわかりますが、ラブホテルの場合、数字を確認できるのは、話が進展しそうだとなってからだと思っていただいた方がいいです。先に売上経費を開示するオーナーさんは少ないです。開示だけさせられて見にもこないうちに、相手から断られるような進め方はしたくないからです。(中には、先に数字資料を開示して、購入意思の固まっている方限定で内見を許可するオーナーもいます。)

気になる物件があれば、まず現地を見にいくことです。(見に行く時には、従業員さんやお客さんの迷惑にならないよう、権限もないのに、何らか余計なことを言ったりして、結果的にホテル営業の妨害などに該当したり、そう見なされてしまわないよう、当たり前ですが配慮が必要です。)

見れば、だいたい予想もつきます。ホテルの収益構造がよくわからなくても、周辺のホテルと比べてそのホテルのお客さんの入りが良いかわるいかくらいはわかるでしょう。駅からの距離や、ホテルエリアとしての認知度など、いろいろなことが加味されて、ホテルの収益はきまっています。中でもまずはそのホテルエリアの立地の良し悪しと、ホテルエリアの中でのさらに立地の良し悪し、ここのところが合格点なら、それは、売買価格さえ相場であれば、たいていの場合、物件としては人気がつくものなので、小難しいことを言うとか、たくさんの資料の開示を求めてからなどの要望が多いと、先を越されてしまって、入手はなかなか難しいと思われます。人気のホテルエリアの中で売上が良いラブホテルを購入する際には、まずは「買わせていただく」という謙虚な姿勢で臨まないと、シャットアウトされてしまうように思われます。

マンションやビルなどを購入検討する場合は、レントロールがきっちり出されますが、ラブホテルの場合、レントロールをいただけなくても、買うなら買う、という意思表示からスタートすることも多いです。修繕履歴もいただけないこともあります。
資料が満足にいただけなくても、それでも買うなら買う、ということ。つまり、プロにしか買えない物件であるということです。素人の方では不明確な部分が多すぎて怖くて買えないということになります。あるいは、反対に、だまされたような形で買ってしまったという後悔がついてくることもあります。たとえ売る方はだましているわけでなくても、素人の方が内容もよくわからず楽観的に物件に手を出してしまうと、あとで、想定していないことがたくさん出てきて、「こんなはずじゃなかった」ということになるというわけです。

とくにラブホテルで注意しなくてはならないのは営業許可のところです。営業許可がとれなければラブホテルを買う意味はないのですが、許可がとれるかどうかは申請してみないとわからない、申請を出すのは契約してからということになると、買主からすれば、万一とれなければ契約を白紙撤回するという内容で契約をしたいところです。しかし、売主はその内容では、契約に応じない場合もあります。営業許可をとるのは買主さんの責任でという雰囲気が通例です。とれる前提で、契約をするという、ちょっとドキドキものになるのです。もちろん、事前に条例等で要件をおさえておきます。ラブホテルを規制する条例がある場合には、そのあたりもおさえておきます。近くに学校等があれば、学校の承認印も許可のためには必要になるなど、いろいろなハードルが待ち受けています。ハードルを越えられる前提で、契約をして、契約後に、売主の協力も得ながら、許可を取得することになります。中には営業許可の取得手続きに関して特段の協力はしないという考え方の売主さんもいます。その場合は、それでいいかどうかも含めて、買主が判断することです。

マンションなどの収益物件の場合、ローン条項付で契約することも多いのでしょうが、ラブホテルの場合、融資を受けるにしてもローン条項を付けないで契約する例も割とあるように思われます。融資が付かないからといって、契約を白紙撤回ということに、売主の納得が得られなかったり、売主も困るからです。

ラブホテルは営業中の物件であり、売買契約をすると、残代金決済に向けて、引渡しの準備に入ります。従業員に解雇通告を出したり、取引先に知らせたり、顧客にポイントカードの終了を告知したり。それなのに、ローンが付かなかったからといって、「無かったことに」と白紙解除となるのでは、その後が、たいへんだからです。売るとなると辞める従業員もいます。とはいえ、新規採用も考え物なので、厳しい人員でがんばってもたせてきて、そのあげくには、なかったことに、と言われても。従業員のモチベーションも落ちてきているのですから売上も減少している、そのような事態になっているにもかかわらず、白紙になるというのでは、損失を何でカバーすればよいのか、というわけです。

だから、仮に融資承認がおりなくても、手付金は返還しない、ということに双方納得したうえで契約を結ぶことがあります。ほかの物件ではローン条項が当然だからということで、ラブホテル物件の場合にもそれを条件にすると、売主の承諾が得られないケースもあるということです。結果的に、手に入れるのが遠のくということにも。(ローン条項が付けられるケースもあります。)

融資に関しても、ラブホテルは、ほかの収益物件のようなわけにはいきません。風俗営業の有無だけではなく、風俗営業がなくても実質ラブホテルとみなされれば、金融機関は貸出をしないところが多いです。とくに大手銀行はそうです。風俗営業には貸し出さない、というルールがあるからです。これは政策金融公庫、いわゆる以前の国金(国民金融公庫)でも同様です。貸し出さない業種として、風俗営業が明記されています。風俗営業でないラブホテルであればいいかと言えば、そうは簡単な話とはならないこともあると思われます。

 

14. ラブホテル経営は、新規参入のハードルが高い、借入れも実績が物を言う。

ラブホテルに融資しないのは、風俗産業を助長することをよしとしない、お上の施作でしょうか。風俗産業は届出制であり許可制でないことから推察できるように、お上が許可をおろすわけではないです。ラブホテルも届出制です。要件を満たしており届出が受理されれば、ラブホテルとしての営業ができるのです。デリヘルも届出制です。お上の許可はないけれど違法ではない、風俗営業に対して、ラブホテル営業に対して、かつ類似のホテル営業(法律上のラブホテルではない。いわゆるレジャーホテルなど)に対して、金融機関も距離を置いているということです。
しかし、違法ではないわけですし、本業ですでに良好な取引関係にある顧客がラブホテル・レジャーホテルを買いたいから、と融資の相談にきたら、その対応については、金融機関によってまちまちです。風俗営業のラブホテルは絶対にだめだけど、そうでない旅館業のホテル(いわゆるレジャーホテル)であればいいというところもあれば、どちらも大丈夫というところもあります。そして、どちらもだめというところもあります。かつ、人(借りる会社)の属性によります。自己資金の有無もありますし、そのラブホテル物件の評価にもよります。土地の価値も算定されますので、古くから取引がある金融機関でラブホテル・レジャーホテルでも融資しますと言われているといっても、調整区域などのように土地価値が低く見られている物件を持っていっても簡単に貸してくれることはないです。また、仮に調整区域であっても貸してくれるとしても、今度は、収益性を判断されます。現状売上で十二分に借入の返済ができるホテルでないとまずは貸出しません。現状売上がわるくて改装投資で売上をあげる計画が立ち、返済も十二分にできると説得しても、売上が見込み通りにいかなくなった時に残るのは土地の価値だけですから、担保力のない土地だと、改装投資をすれば式の、たられば、では、金融機関は、応援してくれません。よほどラブホテル経営の実績が豊富で、その金融機関との取引歴も長く安定的であり、しかも、別の担保、いわゆる共同担保が入れられるということで保全がきく、というような例でないと、借入については困難となります。

ラブホテル(レジャーホテル)への貸し出しに対して、ある程度前向きな姿勢を示している一部の金融機関、ノンバンクもありますが、借主となる方のお勤め先や年収でフルローンでも貸し出す収益物件の例とは異なります。ラブホテル融資は、基本的に経験のない方や投資だけを目的として運営をしない方などに対しては、厳しい見方をしておりますので、皆さん、新規では融資付けで苦労されます。

なぜ、経験がないとか、投資目的であると、融資をしぶられるのでしょう。それは、ラブホテル経営の実績があるところは安心できるということ、投資目的だけで運営ができないなら心配になるということ。すなわち、ラブホテル経営は運営力がたいへん重要であるからにほかなりません。収益マンションなどでは、経験がなくても投資目的で管理会社に丸投げであっても、一定の基準を満たせば借り入れができることも多いことに比べると、ラブホテルの新規参入のハードルはとても高いのです。

また、ラブホテル経営において、経験と運営実績を問われるのは、多くの金融機関でラブホテルの収益構造がよくはわかっていないからです。自分でよくわからないものにお金を出す場合、実績をもっているところに出すというのは一つの安心材料になります。運営についても自分のところでできるところに出すのと、他人任せになるところに貸し出すので、安心の度合いが変わってきます。
投資家がお金だけ借りて運営を他人任せ、ということでは、危なくて貸し出せないのです。
ラブホテル経営で成功してきた実績がある運営者に貸すのであれば、まずは、安心。だから、ラブホテルを初めて買う投資家は、全額自己資金で始めるか、ラブホテルに貸し出してもいいという取引先との関係を事前に築いてから実績のある運営会社(オペレーター)に管理を委託する、あるいはサポート(協力)を得るという前提で、一部融資を取り付けるということが順当となります。
しかし、運営会社に委託するとすれば、運営フィーの支払いが生じます。運営フィーは売上の8%~10%くらいのところが標準です。ただし、昨今、運営会社の数も増え競争も厳しくなっておりますので、フィーのディスカウントも進み、5%~6%くらいのところも増えているようです。もっと低い額であっても受託ないし、コンサルで受けているところもあるようです。
高い安いという金額面だけでなく、高いなら高いなりの内容になっているか、また安くできるならその背景と理由が納得いくかどうか、運営会社さんやコンサルタントとの相性も含めて、総合的に委託する先を検討するべきです。

金融機関が貸し出しても良いという物件で、なおかつ運営フィーを支払って、長期的な返済計画が立てられるホテル、しかも大がかりな改装投資をおこなう購入前の現状において採算がとれているホテル。そんなパーフェクトな物件はまずありません。多少のところは譲歩する、たとえば購入前の現状においては売上が低迷しているけれど、適度な改装投資をおこなえば売上が回復することが事例として豊富にある人気のホテルエリアにあるホテルであれば、そこのところをプラス評価して、現状の売上は妥協する、といったバランス感覚が求められると思われます。

運営を委託する管理会社さんがあらかじめ決まっているようであれば、詳細の事業計画などしっかり打ち合わせをして、その運営会社さんが借入の実績を持っている金融機関などに、運営管理会社付で計画を持ち込むということも行われています。

 

15. ラブホテルは玄人(プロ)が買う。プロしか買えない?

初めてラブホテルを買う人(会社)は、ラブホテルに融資をしていると評判の金融機関やノンバンクに相談にいきます。物件の評価も良い物件であれば、また買主の属性が良いということで貸出先にしたいということなどが勘案されると、初めてでも承認がとれることもあります。土地の価値が高くて担保として保全がきくのであれば、初めてなのに運営会社の支援を付けなくても、融資が実行されるケースもないとは言い切れません。とはいえ、一般的には、当面はラブホテルの運営会社を入れて、慣れてくれば、自分(自社)で運営をしていく、管理フィーを手元に残していけることにもなりますし、段階を踏むことの利点を金融機関にもアピールできます。

本業がラブホテル経営でなければ、ラブホテル経営を専業として時間と労力を割くことはたいへんなところがあります。だから親族の一人がホテル経営を専業にすることもあります。片手間にできるものではないということです。片手間にやると運営に力を入れられないわけですから、当然ですが、売上もあがりません。片手間にやりながらでも、立地やホテルがとくに良ければ売上はある程度あがりますが、しっかり力を注いで運営をやる場合と比べると、上限まであげられたときとの差が大きくて、もったいないな、ということになりがちです。

ところで、ラブホテルの経営者の考え方によって、売上をあげることに重点をおくタイプと、経費を削減することに重きを置くタイプに分けられます。経費を削減するタイプのオーナーは、ひときわ手残りがいくらになるかが問題であると。古くなったホテルを購入した当時、一括で改装をかけたが、予想通りに売上があがらないということになると、後は経費削減よりほかに手残りをおく方策が思いつかないからです。あるいは、ホテルが古くなって売上が落ちてきているが、改装をするためにお金を使うのではなく、経費を削減することで、手残りを維持しようとします。売上が減っても、経費が削減できれば、手残りで同じ、というわけです。しかし、経費の削減をすると、さらに売上が減少します。なぜなら、隣の店では、洗面所いっぱいにアメニティ(消耗品。化粧品のパウチなど)が贅沢に並べられているのに、この店ではアメニティも最低限でさみしいとなると、同じ料金であればたいてい隣の店へ行こうと考えるのではないでしょうか。隣の店へ行くのをくい止めるためには、料金を下げるほかない。そうなると、また売上は落ちるわけです。いずれ底になれば、ホテルを売却すればよいという考えのオーナーもいます。お金をかけても結局手残りで同じになるくらいなら、最初からお金をかけないやり方でいいではないか、ということを考える方たちがいるということです。

経費は有効に使っていかないと、ラブホテルの場合も、売上があがらないので、手残りで同じといってもやはり、そうではないという場面が待っていると見こさないとならないでしょう。売却するにしても、売上がさがっている状態では、売買価格もその分下がりますし、買主が金融機関に打診をしても良い返事がもらえなくて、結果的に、思うように売れない物件ということになります。
それでも、立地が良ければ、買いたいという買主が現れるものです。なぜなら、立地の良いラブホテルはなかなか売りに出ないからです。まして、売上が良いホテルはさらに売りに出されないですし、たとえ売りに出されても価格がとても高いので手が出せない。一方、売上が下がっているホテルはその分価格も値引かれています。そうでないと売れないからです。建物が古くなって修繕、改装等の投資が必要であったとしても、今すぐに投資しなくても、営業を継続することはできるわけですから、一旦まずは購入して、ということにもなります。物件を買うだけであれば、自己資金プラス金融機関からの借入で間に合うと思われるからです。しかし、金融機関は、売上が低いホテルについては、評価が厳しく、借入できるとしてもできる金額が低いので、自己資金がよほどないと買えない、ということになります。

金融機関の物件評価自体が厳しいですから、全般的に結局プラスアルファの自己資金を入れないと買えないことになるものです。

とくに、これから新規参入される方の場合は、希望通りの資金を借りることはなかなかできないものです。好調なホテルエリアからもはずれているうえに売上が下がっているホテルの場合、概して評価がたいへん厳しくなり、物件価格の2分の1しか評価が出ないというようなこともあります。
本来から言えば、ラブホテル物件というものは、市場において概して土地建物の積算価格を大幅に上回る価格で売りに出されます。売上がよければ収益還元で、プラスアルファの評価ができますが、売上が低ければ、積算価格以上の評価を金融機関から取り付けることは難しくなります。だから、金融機関から融資を受けてラブホテルを買いたい場合には、どうしても、売上が良い物件を探すことになります。そして、そういう物件でないとシミュレーション上返済もできないわけです。
売上が良い物件というのは、金融機関が経験として売上が良好であることを知っているホテルエリアにある物件という意味合いもあります。
ただし、ホテルを複数店舗経営し、その取引金融機関に対しても実績を積んでいるような場合には、改装費を含めた金額のかなりの部分の融資を受けられるようなこともあると思われます。全体からみれば決して多くはないでしょうが、金融機関が実績というものをどれほど大きくプラスでみているかということの表れだと思います。担保力(価値)の問題や資金調達能力などの問題もあります。また、実績のある方がしっかりした事業計画を作れば、説得力もあるということでしょう。

利回りが良いからラブホテルを買いたいわけですから、売上が低い物件をあえて買う意味というのがそもそも少ないということもいえます。とはいえ、売りに出されるラブホテルは売りに出る時点で通常売上が下がっていますから、改装投資と運営の改善を行う計画で、売上があげられるというシミュレーションをおこないます。売上があげられるということがなければ、金融機関も、現状売上ではプラスの評価ができず、融資を見送らざるをえないことになります。改装投資と運営改善で売上をあげられるといっても、素人が初めてやるのにそんなことができるということは信じてもらえません。だから、ラブホテルは、専業でやっているホテル経営者や実績が豊富なホテル運営者(経営者)に買いやすいようになっているのです。新規参入される方が買うためには、自己資金で買うか、あるいは、運営委託をすることで理解を求める(あるいはコンサルタントを付ける)ほかないということになりがちです。
繰り返しになりますが、半面、専業のホテル運営会社で実績のあるところがホテルを買う場合は、ホテル運営の実績が高く評価され、また金融機関も安心して貸し出せるので、ある程度の改装投資分も含めて融資を受けられることもあります。それは継続した取引において、物件の担保の枠が空いてくるということとの関係も含めてのこともあります。

つくづくラブホテルというのはプロが買うのに都合のよい環境にある特殊物件(事業)だといえそうです。新規参入するにはハードルが高いが、中に入って実績を積めば次の展開ができるという仕組みになっています。とはいえ、プロであるだけに、収支にはシビアですから、適正価格を離れて高く物件を買うということはできません。新規参入組はおおむね買えない、買えるのは結局プロという業界の事情を受けて、それでも少しでも高く売りたいオーナーさんがいよいよプロが買っていいという価格まで売値を下げるということに納得するまで、仲介業者は、長い道程を根気よく付き合っていかなくてはならないのです。

 

16. ラブホテル物件は運営者や投資家のタイプに応じてセレクトされる

地方へ行けば、土地建物の積算価格より安い金額のラブホテルも売りに出ています。調整区域であっても建物の残存価値がまだかなり残っている物件などは建物の価格の分、積算価格で言えば、割合高くなるのですが。実際の取引においては、積算を下回る価格で取引されることも多いです。
土地の価格は東京の山手線駅前と地方の調整区域ではけたが違いますが、建物の価格にそれほど大きな違いはありません。だから、鉄筋コンクリートで平成に入ってから建築されたようなラブホテルは固定資産税評価額等における評価は割にあるのです。しかし、収益性が低ければ買う意味はないか、よほど安くなければ買う意味はない、となります。したがって、そうしたホテルは積算価格を下回った売買価格で成立することがあります。建物の残存価値があるといっても、ラブホテルとしての収益力が低いのでは、建物の価値はありません。用途変更といっても、ラブホテルを違う用途、たとえば、マンションや寮などに転用するにせよ、立地の適正や法令等の問題がありますので、用途変更といっても合致するケースの割合はそれほどないと思われます。ラブホテルを壊して、次に利用できない土地であるなら、収益力が見込めないラブホテルを買う方は滅多におらず、いたとしても、それはとても安い価格になるのは当然でしょう。

安い価格で買って、改装投資をして、大幅に売り上げをあげる、これがラブホテル投資の王道として認知されてきておりますし、間違いではありません。しかし、立地が魅力的でないのに大がかりな改装投資をしても、投資が回収できないことも多々あります。物件を安く買っても改装投資をすれば、グロスで大きな投資になる。じつは売上はあまり見込めないエリアなのに、改装すれば大幅に売上があがるという楽観的な予測で、投資をおこなうと、失敗することが多いようです。
同じお金をかけるなら、できれば立地の良い物件の入手にお金を投入する方が後あとも楽です。いざ、やはりうまくいかない、というようなことになったとしても、買主候補はいます。買主候補がなかなかいないホテルエリアで大きな改装投資をして売上も結局あがらなかったということになると、売るに売れないです。投資分の回収はもちろんできず、買いたいという話があったとしても、驚くほど大きな損切を覚悟しなくては取引が成立しないこともあります。

(かといって、あまりリニューアル投資費用を惜しむと、何度も改装や修繕を入れなくてはならなくなることにもつながります。やるべき時にやることは一度に全部やっておくということの方が、結果的に安く済み、内容も良かったということもあります。)


また地方のホテル物件を買って失敗するケースでは、マーケティングの不足です。実際にほとんど市場を調べもしないで買ってしまって、後で後悔されている方がいます。ラブホテルは商売ですから、地方の商慣習や顧客の特徴、競合他社の状況など、商売を始める前には、わかっていなくてはいけないことがたくさんあります。参入してから、はじめて理解した、というようなことでは遅いです。マーケティングをしすぎたら何もできないという面もありますが、知らない(経験がない)場所で商売を始める場合は、慎重を期した方がいいでしょう。地方でラブホテルを経営するなら、当然ですが、よくわかっている地で始める方がいいです。目が行き届くところで、市況も見ながら、ということができれば、うまくいくにせよ、うまくいかないにせよ、判断を誤ることは少ないでしょう。仮に撤退をするべきだと思うなら撤退のしようもあるうちに舵をきることができます。知らない地で、まして他人任せにするのはおすすめしません。投資は自己責任といいますが、ラブホテル投資も100%自己責任の意識でおこなうべきです。となると、知らないうえに、他人任せがどれほど怖いことかおわかりになるでしょう。
気がついた時には多額の投資金を失う道しか見えない、あるいは、借入ばかりが残っていて途方にくれる、というような残念なことにならないように。知らないところでの投資については博打をうつことになる覚悟でのぞむくらいでちょうどいいと思います。固くいきたいなら、知っている場所か、土地価値や人気のホテルエリアであることからの安定性が見込める立地で買われる方がいいと思います。

地方は物件が比較的安いので買うには買いやすいですが、経営は概して楽ではないことが多いので、大きな利益を求めず、コツコツと真面目に商売をしていくつもりがないと、見込み違いに泣くことになる場合もあります。大きく儲けることを期待するのではなく、地道にいく心構えが求められると思います。

海外の投資家や国内の投資家から運営を委託されているラブホテル運営会社では、中期的な物件売却を前提に、地方で物件をセレクトしているケースもあります。大き目の物件であれば売上も大きく見込めるので、利回りもとれ、運営フィーの経費をしっかりとったうえでも、配当が支払えるという仕組みなど、それぞれ運営会社が構築した仕組みと、セレクトの基準を守りながら、投資家に物件を紹介しています。
それでも、あえて地方で、というわけではなく、都心部では物件が高くて利回りがあわないというのが理由になります。また、購入物件については、ホテルエリアの中で売上がよい物件というのを条件にするなど、現状においても収益力があることを取得の条件にするなど、各自ルールがあります。そうした物件は中期的なところで売却をしても、売上が現状維持できれば、大きなディスカウントをせずとも売却できる物件ということになります。中期的なところで売却することを前提に、大がかりな改装投資をおこなうと、市場が崩れて、つまり物件価格が安くなる方向にいっていたとしたら、投資額を大きく毀損する価格でしか売れないということの懸念がありますので、それをあらかじめ避けることにもつながるからでしょう。

一方、投資家からラブホテル・レジャーホテル物件のセレクトと運営を任せられている運営会社の中には、古くなって集客力が落ち込んだ物件をセレクトし、全面改装(フルリニューアル)で売上をあげるというやり方に統一しているところもあります。たとえば、国道近くで、ある程度周辺にホテルが建っている立地で、古くて売上が落ちてしまっているところに、改装で一新し、地域ナンバーワン店に押し上げる。部屋数もあつかいやすい20室~30室程度を中心に、サービスに力を入れて、人気店にして稼働をあげます。物件取得価格と改装費用を合計して、取得費としてみなしますので、改装が大がかりになる場合、また老朽化が進む大規模修繕が必要な場合などは、物件価格をおさえないとなりません。土地値で買いたいくらいというのが本音ですが、土地値でラブホテルを取得することは難しいので、採算が合う物件を見つけるのが大変なのです。

ホテル経営、運営をする方(会社)は、上記のように、独自の基準をもっています。それは、自分がトライしたことの成功例をもとに、展開していっているものです。半面、失敗例についても反省し、同じ失敗をしないよう、より成功事例を練っていく傾向が強くなるように思われます。

 

17. ラブホテルは立地が大事。でも。やり方次第

初めてラブホテル・レジャーホテルを買う方がどのような物件を買えば良いのか、一言で答えるのはとても難しいです。重視したいのは、立地です。立地の良い物件は高いです。したがって、高い物件を買えるなら、立地を重視していただきたいです。高い物件は買えない、最初は安い物件で試してみたい、ということなら、立地を譲歩するほかないです。立地を譲歩するということは、ある意味楽して儲かるホテルエリアはあきらめて、苦労を覚悟でノウハウが必要な立地に進出していくということになります。苦労は覚悟した、でもノウハウがない、という場合は、やはり最初は専門の運営会社に協力してもらうのが望ましいです。大家業をしながら、ご自分も運営を勉強するようにして、1年か2年くらいで、自分でやれる自信をつけるようにされるのがいいと思います。1年か2年では、まだ経験としては少ないことになりますが、やる気と適性があれば、大丈夫でしょう。不安があれば、運営会社のサポートやコンサルタントの協力を受けるなどしながらの方法もとれます。ただし、自分でやるということは、時間も手間もとられるし気苦労も多くなります。立地がそれほどよくないところでは、片手間でやっていては結果が付いてこないです。立地がとても良いところでも、そういうところは競争も激しいですからやはり、片手間でやるのでは、最大とれるはずの利益を残していくことは難しいでしょう。ご自分でやることで、他人に頼らずホテルを運営できることが実績として認められますので、また次の一店舗という場合にも、融資を受けやすくなるメリットもあります。そのためには、成功させないとならないわけです。 そして、成功させやすい物件というのは、やはり立地の良いところにあるホテルということになります。

立地が良いところにあるホテル(手頃に買えるなら、尚いいです)であれば、適切な改装投資と運営改善を前提として、早ければ5年〜7年(~10年)くらいで、投資額を回収できるものです。そこから先は、利益をストックしながら修繕、改装にまわしながらの経営ができるので、ますます、安定的な経営ができるということになります。そういうホテルは誰もがほしいホテルですから、手に入れるのはとても大変です。手に入れられる方はわずかですが、手に入れることができれば、「儲かる」ラブホテル経営者になれる確率がぐっと高くなります。
そうしたホテルは手に入らないが、やはりラブホテルを経営したいという方は、立地を一番に考えないで、現状の収益力や、土地の価値、建物の状態、部屋数、改装による伸び白等、優先したい項目をきめて、あるいは、全体のバランスをみて、バランスの良い物件を、というふうに、物件に対して求めるところを変えていかれることになります。

ラブホテルは特殊な物件ですが、不動産投資の1つですので、不動産投資をされている方でしたら、ラブホテルに関しても、投資の仕方にこだわりが出てくると思います。

土地の価値よりも何といっても利回りという方もあれば、利回りはそこそこでいいから土地の価値がちゃんとある物件がいいという方もいるでしょう。
資産で持ちたいのか、キャッシュフローを重視するのか、という考え方の違いは、ラブホテル物件の投資においても、スタイルの違いとしてよく出てきます。

立地の適性から、カップル客を重視するのか、デリヘル中心にいくのか、あるいは運営ノウハウの得意なところでカップル客に訴求するのか、デリヘル客を回転させていくのか。デリヘル客を回転させていくことは、風俗に縁のない方には、イメージするのが難しいでしょう。
ところで、ラブホテル(レジャーホテル)を経営しているからといって、風俗に詳しい、強いかと言えば、そうとも言い切れません。ラブホテル(レジャーホテル)経営をしている方の中には、デリヘルで回転させるのがあまり上手でない方が大勢おられます。

得意でないということのほかに、デリヘル客の比重が大きくなると、そこのデリヘル店が閉鎖したような場合に打撃が大きくなるので、あえて比重を大きくしないということもあります。デリヘル店は撤退することも多いです。デリヘルに頼りすぎると、失ったとき、売上が激減し、大変なことになってしまいます。そうした経験もあり、そのことがわかっているから、デリヘル頼りにならないように、ホテル側も自戒しているところもあるのです。カップルにも気にいって利用してもらえるホテル作りをすることが大切になるのです。

また、東京オリンピックなど国際的なイベントが決定するとその実施に関して風俗等に対する取り締まりも強化する傾向が予想されます。風俗の取り締まりが強まると、風俗需要の強いホテルエリアの一部では、影響を受けることが想定されます。
ホテルオーナーはそうした様々な情勢を読み、見据えながら、物件を売買し、営業をおこなっています。経営者としての手腕が求められるのは、ビジネスの大きな海で舵をとる船頭だからといえそうです。

 

18. ラブホテルはおこぼれ頂戴。エリアが持つ集客力

ラブホテルを買うときに、現地へ行って、お客さんの入り具合を見てくるということは、いずれの買主もおこなうことの一つです。そして周辺の競合店を調べて、近くの別のホテルエリアにまで足を延ばしてどの店が流行っているか見てくるということもされます。
現地へ行くことはとても重要です。しかし、慣れないうちは、現地へ行ってホテルを見て回っても、優劣の判断がつきづらいものです。どのホテルもけっこうお客さんが入っているように見えるとか、どのホテルも入っていないように見えるなど。あるいは、どれか一つのホテルだけが特別客入りが良くみえて、他のホテルはまったくだめに思えることもあるでしょう。

なぜなら、ホテルは曜日や時間帯によって同じような客入りをするからです。繁忙時の日曜日の昼などは、普段は閑古鳥が鳴いているホテルでもお客さんが入って空室がないほど。また、平日の宿泊客が出た後は、次に休憩客が入るまでは清掃タイムであり、清掃が終わった部屋がどんどん売りに出されているので、どのホテルもお客さんがいない状態に入ります。その時にホテルを見ると、どこも同じように見えることもあります。
逆に、他のホテルにはお客さんが入っていないのに、一つのホテルだけに入っているのは、そこのホテルがちょうどその時間にうまくお客さんを入れることができるよう時間料金設定を工夫しているということもありえます。

いずれの店も繁忙時には、人気のある店に入りきれないお客さんが、空いている近隣のホテルへ流れていきます。だから、人気のないホテルでも、ホテルエリア全体に集客力があれば、お客さんを拾えるのです。おこぼれ頂戴で儲かるのが、ラブホテルの特性です。
ということは、いくらがんばっても、ホテルエリアそのものに集客力がなければ、集客は楽ではないということです。エリアの力が持つ意味が大きいのがラブホテルの特徴です。

ラブホテルは何件も何十件も固まって建っていることが多いですが、これは、競合が多いということにはなりますが、おこぼれ頂戴もありますので、わるいことともいえません。中には、住宅街やメイン道路の近くにポツンと一軒だけ建っているラブホテルがあります。周りに全然なければ独り勝ちということにもなりますが、エリアとしての集客力がないので、ホテル単独で評判になるだけの魅力を求められます。お部屋やサービスが良いことなどで、そこのホテルへ行ってみようと、いう気持ちにさせることが必要です。魅力があれば、周辺にホテルがなければ、そのホテルへ集中してお客さんは入ります。魅力がなければ、ちょっと足を延ばしても、人気のホテルエリアの方へ行こう、ということになって、素通りされてしまうことも。とはいっても、周辺にホテルがまったくないということであれば、一定の需要というのはあります。需要はあってもあまりに内容がわるければ、リピーターになってもらえないので、儲かるというところまではいきません。

ラブホテルにとって、リピーターは非常に大切です。だから、会員カードとしてポイントカードを発行してポイントを貯められるようにしたり、割引をしたり、サービス、たとえば、サービスで無料ドリンクを一杯提供したり、細かいところで、会員以外と差をつけるのです。
ラブホテルを利用する方は、だいたい同じホテルへ行くといわれています。お気に入りのホテルが1つか、せいぜい3つくらいあって、繰り返し同じホテルを利用する傾向があるのです。なぜなら、ラブホテルの出入りは人目に付きたくないですし、清潔な部屋かどうかも外からだけではわからない、フロントさんがいい感じかどうかも。料金のこともわかっていればなお安心です。だから、一度行って、合格点だったホテルには、安心して次も行けるので、お気に入りのホテルになるのです。しかし、一度行って、不満が出れば、もうここへはこない、となります。

飲食店なども不満があればもう二度とこないとなるのは同様でしょうが、ラブホテルの場合、とくにクレームを言うこともなく、ただこなくなるということがほとんどではないでしょうか。なぜなら、ラブホテルを利用するお客様は、従業員と接触したくないので、わざわざ文句を言ったりしない傾向が強いと思われるからです。だからこそ、ラブホテルは、物言わぬお客様の気持ちを読みながら、おもてなしの心をいつも持ちながら、運営をしなくてはならないのです。

ラブホテルの従業員といえば、フロントさん(受付)とルームさん(清掃)です。フロントは、受付なのでお客様と接することが多いですが、顔をばっちり見るようなことはしません。お客様は人に見られたくないのです、だから、フロントは、お客様の顔をガン見するようなことをせず、上手に接します。ルームさんは、できるだけお客さんとぶつからないように、気をつけていますが、それでも鉢合わせしてしまう時があります。その時に逃げるようにすると、かえって印象がわるいし、お客様にもいやな気持ちにさせてしまうので、鉢合わせしてしまったら、その場で45度くらいの礼をして頭を下げます。お客様とは目を合わせないように。
ルームさんは、お客様が退出したら清掃に入ります。一基しかエレベーターがないホテルでは、階段で上り下りしているホテルも多くあります。エレベーターはお客様用として従業員はできるだけ使用しないことにしているホテルもあります。

9階でもエレベーターが一基しかないラブホテルもあります。従業員は階段で1階から9階まで上がったり下りたりしているのでしょうか。さすがにそれは効率がわるいので、ある程度の階をまとめて1つのチーム制にして、効率よく業務ができるように工夫しているところもあります。

ラブホテルは営業物件ですので、バックヤードがどうであるかも、けっこう気になるところです。リネン(バスタオルやガウンなど)、アメニティの在庫を保管したりするのに適当な広さの作業スペースがあれば、作業効率も良いです。しかし、部屋数も少ない小規模なホテルではとくに、バックヤードとして使用できるスペースがほとんどない場合もあります。
部屋数が小さな小規模なホテルは、少しでも余裕があれば部屋になるよう設計していることが多いです。一方、部屋数が大きな大規模なホテルなどでは、エレベーターを2基とはいわず、お客様の上り用(部屋へ入る)下り用(ホテルを出る)に分けたうえで、従業員用のもの、つまり3基設置しているところもあります。また、リネンスペースなども十二分にとり、従業員の休憩室までしっかりあるところもあります。とくにこうしたことは、土地の広い地方のホテルにおいてよく見られます。

ラブホテルの外観をみると、だいたい中のお部屋の状態も想像がつきます。外観が汚れているのに、中だけ綺麗ということは少ないです。外観だけ綺麗で、中がすごく古いということも少ないです。外観をきれいにしているホテルは、必ずとは言えませんが、中もきれいな傾向があるように思われます。

ところで、ラブホテルを購入し、改装をかける際に、外観だけをきれいにするか、お部屋の改装だけで外観はそのままにするか、外観もお部屋もきれいにするか、等で、迷うことがあります。捻出できる資金にも限りがありますので、効果的な部分に優先的に先行投資したいと思うのですが、古いホテルの場合、外観もお部屋も、どこもここも直すところがいっぱいあります。全面改装の時期にきているホテルは、思い切ってフルリニューアルをかけてリニューアルオープンしようという計画で、物件を取得しているものですが、時々、適宜、改装や修繕をおこなってきているホテルでは、フルリニューアルをするのではなく、ポイント改装をおこなう場合が多いです。その時に、どこに手を入れるか、が、その後の売上を左右します。外観をきれいにすれば、見た目は良くなります。しかし、お部屋がそのままだと、料金は上げられません。お部屋という実質の内容が変わらないのに料金を上げると、お客様は不満に思うので、よそのホテルへ動いていったりするからです。外観を変えないで、お部屋を改装したり、浴槽を変えたりすれば、そのお部屋の料金を上げられます。しかし、外観が変わっていないので新規客へのアピールは薄く、リピーターへのアピールになります。

どこをどうすれば、売上が楽にあがるか、またホテルのメンテナンス上もどの時期に何をしておくのが後々一番得であるか、等は、慣れないとわかりづらいです。理屈ではない経験から見えてくるものだからです。
とはいっても、何事も経験がないとわからないということでは、スタートが切れません。

そこで、わたしが考えた、ラブホテルを判断する指標を公開いたします。(次の19.「インターネットでは~」をお読みください。)机上の空論のようですが、かなり当たると自分では思っております。ご参考に。最終的には、もちろん現地へ行ってみないと実感がわかないでしょうし、自分の目で見ることはとても大切ですからそのようにしていただきたいです。

 

19. ラブホテルはニッチ物件。ホテルエリアごとに特徴がある。取引は一筋縄ではいかない

インターネットでは、ラブホテルについて詳細な情報が掲載されています。時間料金システムはもちろん、設備の有無など、お客さんが事前にホテル選びができるよう、いろいろな情報が掲載されています。それらを見ていくと、近隣のホテルについてばかりでなく、ある程度競合するホテルエリアの傾向や特徴までわかります。
各ホテルの室料金をグラフにしてみると、ホテルエリアごとのはっきりした特徴が見えてきます。安売りをしているホテルエリアでは、全面改装をたとえしたとしても、高い料金はとれないことが推測できます。となると、豪華な部屋を作るのではなく、ほどほどで回転させられる部屋を作ることを意識できます。回収のことを考えれば過剰な投資を未然に防げます。高い料金で設備も充実しているホテルが多いホテルエリア、低い料金で設備もおちるホテルが多いホテルエリア、はっきりと傾向があらわれます。そして、設備も充実していないにもかかわらず室料金が高めのホテルエリアというのもあります。
高い料金のホテルエリアでは、多くは、部屋も広く作られていて、長時間ゆっくりするのに適しています。一方、安い料金のホテルエリアでは、多くは、部屋も狭くて、ショートタイムで回転するのに適しています。一つの事例にすぎませんが、客単価が低くて回転が多少良くても、周辺の別のホテルエリアの方が人気のホテルがあってそちらの方が強いだろう、こういう状況が読めてくるわけです。

ところで、経費については、立地やホテル経営者、管理を委託している運営会社によって、10%程度前後することがあります。
標準は売上の50%(~70%)が営業経費です。売上が1000万円だとすると、500万円が営業経費。内訳は、人件費、消耗品費、リネン費、電気・ガス・水道料金、保守点検、広告宣伝費、雑費、軽微な修繕費等です。経費の削減では、人件費をぎりぎりに抑えたり(昨今は難しくなっております)、リネンのランクを落としたり、消耗品費(アメニティ)の種類をおさえたり、広告宣伝費をかけないということをおこないます。

人件費は売上の20%~30%(店長の給与は本社経費として別にしているところもあります。数年前から人件費負担は重くなり、30%近くまで上がってきているところが増えているようです)。ラブホテルの職種は店長、フロント、ルーム(メイク)です。飲食店やカラオケルームにも店長さんがいますが、ラブホテルにも店長さんはいます。ホテルの責任者です。業務としては、日々の売上管理、納品業者への発注、従業員のシフト管理、キャンペーン告知、メンテ、保守の立ち合い等、幅広いです。フロントさんは、受付に座って鍵を受け渡ししたり、電話で飲食等の注文を受けたりします。調理をおこなうこともあります。ルームさんは、いわゆるメイク係です。オーナーや本社(チェーン店)からの指示は店長へなされます。店長がその指示をもとに、適宜、フロントさんやルームさんに伝えます。ラブホテルの現場組織は、ピラミッド型です。店長さん、副店長さん(いる場合)、フロント主任、ルーム主任、フロントさん、ルームさん、といったように。

店長職は、オーナーと縁故関係にある方や、小規模なホテルではオーナー自らが兼ねている場合もあります。チェーン店であれば店長採用された方がなる場合が多いです。チェーン店は現地採用もありますが、転勤によっていろいろな場所のホテルで勤務経験を積む場合もあります。清掃(ルーム)、フロント(受付)もできないと務まりません。オーナーは、ルームさんやフロントさんの仕事がこなせなくてもほぼ務まりますが、店長となるとそうはいきません。スタッフであるルームさんやフロントさんの人員が欠けたような時には、自らがシフトに入って店をまわさないとなりません。ラブホテルは24時間営業365日休みなし、です。店を閉めるのは、フルリニューアルの時くらいですが、それさえ、フロアーごとに改装をおこなって全館営業をストップするのは、よほどの時か、一時的に限ってということも多いです。それだけ、ラブホテルは営業を閉めることについては簡単にはおこないません。休憩と宿泊で一日中、部屋を売る、部屋を遊ばせない、ということで、稼働をあげて儲けられるというシステムがラブホテルの真髄ですから。経営者としては、そこのところはゆるぎない信念となっています。無休で営業をすることがラブホテル経営者としての常識ですから、店を閉める時はよほど正当な理由がなくてはならないわけです。稼げる日銭は取りこぼしたくないという思いもあります。リニューアルによる休業中に顧客離れが起こるということも避けたいところでしょう。(正当な理由の一つには、あまりに運営内容がわるくて集客が落ち込んでしまったホテルを購入したような場合、店を一旦全面的に閉めて集中して改装工事をしてから、イメージチェンジした姿で勝負に出るといった手法もあります。工事もやりやすくなり、早く営業を再開できるメリットもあるからでしょう。)

したがって、物件の売買をする時も、営業は閉めません。営業中のまま引渡しをします。お客様も入っているままで引渡し時点での売上金を清算します。鍵の引き渡しをしつつ、お客様は普通に部屋を利用しているわけです。(中には一旦クローズし、新規に営業許可がとれてから再開するパターンもあります。)

ラブホテル売買の場合、風営法付でなければ、売買の形式としては、土地建物売買となります。しかし、営業物件であり、従業員の雇用の問題もありますから、新オーナーがそこにいる従業員をあらたに雇用していくことが多いです。売り渡しをする経営者も多くは、それを望みます。今まで店で働いてきてくれた従業員が自分(会社)の都合でホテルを手離すために職を失い路頭に迷わせるようなことはできれば避けたいからです。

従業員の雇用の問題のほか、営業権の手続き等の問題もあり、ラブホテル売買は、通常の土地建物売買よりはるかに調査をし、協議し取り決めなくてはならないことが多いです。営業権の新規取得においては、現オーナーに協力をいただかなくてはスムーズにいかないところもあります。土地と建物だけで箱だけ置いていかれても、ラブホテルは営業ができないわけです。売買の形式としては土地建物であっても、売主買主双方が協力し、取引のためには調整をはからなくてはならないことがたくさんあります。

土地建物売買ですから、不動産業者に話が持ち込まれます。売りたい話、買いたい話。しかし、ラブホテル物件取引に関わったことがない不動産業者さんもたくさんいますので、営業権のところがわからず、話をまとめることができません。
不動産業者さんは、売買仲介で売主と買主の間に立って、成約のために力を尽くしますが、自分自身が物件のことをわかっていないということでは、まとめることが難しいのです。売主も買主もプロであれば、勝手にやってくれるのでは、ということをちょっと思いそうですが、そうではないです。プロであればプロであるだけに、双方言い分や、自分のやりやすい取引方法、取引の内容へのこだわり、などがあります。仲介業者の役割は、やはり小さくありません。売主がプロで、買主が今回初めてという素人さんの場合はどうでしょう。売主がプロとしての主張をされるのに対して、買主は不安なことが多いですから保全を図ろうとします。営業権がとれないなら停止条件付の売買にして白紙撤回ができるように、など。しかし、プロの売主にしてみれば、土地建物売買なのに、営業権の問題で白紙解除になるというのは受け入れたくないものです。双方の間に立って、あるいは売主側の業者と買主側の業者として間で調整しつつ、売主買主の双方の言い分を踏まえて、後のちトラブルになりづらい取引の内容を固めるのが仲介人の仕事です。
土地建物売買だから、ということで、営業権のことを抜きにして、取引を成立させてしまうと、数は多くないでしょうが、新規に営業権がとれなかったということで、何のために買ったのかわからないということもありえるわけです。休業中、廃業しているホテルを購入する場合は、とくに注意が必要です。営業中の物件であっても、条例が改正されているような場合もありますので、今営業しているから簡単にとれるだろうというような楽観的な考えですと、思わぬことがあって、大変な思いをすることもあります。

実際に営業許可がおりるかどうかは、許可申請を出してみないとわかりません。しかし、プロであるなら、許可がおりるかどうかも含めて自己責任、許可がとれると見込んだから買うのでしょう、そしてとれるようにするのがプロでしょう、という、きわめて玄人であることを求められるのがラブホテル取引の実態です。だから、究極、やはり突き詰めていうならば、ラブホテルはプロしか買えない玄人向けの投資物件です。素人の方がいろいろ言っていると、玄人に持っていかれるか、玄人である売主にシャットアウトされるか、という、ニッチな物件です。極端かもしれませんが、売主の売りたい方法で気持ちよく「買わせていただく」という姿勢が求められる、ちょっと特殊な物件です。ここのところが新規参入でラブホテルを買おうという方たちにとって、ハードルが高いところのようです。(とくに人気のホテルエリアで立地が良い物件はその傾向が強くなりがちです。)
ハードルが高いところを、安心に安全にとべるようにするためには、やはり信用できる不動産業者さんや実績のある運営会社さんなどの協力を得ながら進めていかれるのがいいでしょう。一般物件とは異なる取引慣習があるということを前提に、おさえておかなくてはならないことだけはしっかり把握されて、後でこんなはずじゃなかったということのないように。

 

20. ラブホテル物件は難度が極めて高い。競売は営業権の問題がある

渋谷はラブホテル規制条例ができており、土地があっても新規にラブホテルは建てられません。ほかのホテルエリアでも同様に土地があるからといって新規に建築ができるというわけではありません。
場所によっては土地に新築ができる場合もありますが、そうでない場合も多いということです。時に、ラブホテル(レジャーホテル)にすれば儲かりそうな収益物件(古いマンション等)の売り情報が持ち込まれることがありますが、解体し、ラブホテルに新築しようとしても許可がおりることは少ないです。儲かりそうな土地に新築して最終的に許可がおりるにしても、近隣住民等への説明、承諾を得るまでのプロセスは簡単ではなく、手間も労力もかかることを覚悟でのぞまないとならないのです。それも必ず許可がとれるかどうかわからないというところからのスタートになりますので、新築できる前提で土地を買ったけどできなかった、という万一のことも想定しておかないとならないわけです。ラブホテルが新築できなくても利用用途がある土地であればいいですが、利用用途がないとなると、計画が暗礁に乗り上げてしまって、大変です。

良い(価格も適正で)ラブホテルの売り物が少ないので、昨今、とくに古いビル等をコンバージョン(用途変更)して、ラブホテルとして営業するということを検討されている方が多くなっているように思います。そしてそれに成功している方もいます。ただし、こちらも、商業地域であることの他にもさまざま条件がともなって初めて可能なことですので、十分な経験と調査が必要になってきます。

ラブホテルを買う、新築用に土地を買う、ということは、一般の収益物件を買ったり土地を買って建てようとしたりするより、気にしなくてはならないところがとても多いということです。調べて大丈夫だということで買うにしても、買ってからでないとはっきりしないところもあります。買う前からラブホテルのことを調べ回るということも難しいです。なぜなら、ラブホテルの売却情報はきわめて繊細な問題なので、情報があちこちにもれると、売主に多大な迷惑をかけてしまう場合があるからです。その常識をもたない不動産業者さんや、買主(候補)さんは、売却情報を不用意にあちこちに広めてしまって、しかも、結局買わない、ということが多々あります。そのため迷惑をこうむったと感じる売主さんは、ますます売却情報を表に出したくなくなります。

ラブホテル物件の売買は、水面下で進めたことにより、スムーズな取引ができる場合もあります。市場に出回っている物件が必ずしもわるいということではないにせよ、情報が出回ると、いわゆるブローカーと呼ばれる人たちが入りこんできます。一つの物件に10人くらい入っていることもあります。ラブホテル物件は、標準的に2億円~3億円くらいを中心に、少し大きいものになると、5億円~10億円くらいの価格のものになります。不動産売買仲介手数料が片手でも物件価格の3%、両手で6%ですから、5億円の物件の両手仲介をやれれば、手数料約3000万円です。一攫千金を狙うのに、とても魅力的な案件のように思われますね。10億円で、6000万円。10人で仮に平等に分けたとして一人600万円です。だから、儲かりそうな物件情報を一人が入手したら、次つぎに情報がばらまかれて、売主の意向とは違うところで、買主探しが始まります。買主が物件に興味をもったとしても、10人の伝言ゲームの中で、話はつながらず、となります。そういうことを避けたいという意向も含めて、売主は、売却の話をする相手は選びます。信用できる人というのが大前提ですが、たとえ売却の相談をした相手が信用できる人であったとしても、買主をピンポイントで探せなければ、思ったように売れないので意味がないことになります。そして、そうこうするうちに、出回り情報となったその話をききつけたブローカーが仲間内で情報をまわすようになると、最終的に、買主が欲しいとなっても売主まで話が伝わらず、となるようなこともあるのです。

ラブホテル物件は、売主が信用している不動産業者に出されるほか、ホテル納品業者さんに話がされることもあります。弱電(コンピューター)業者さん、リネン業者さん、アメニティ(消耗品)業者さん、食材業者さん等はルーティーンにホテルに出入りしておりますので、たくさんのホテルオーナーのところに出入りしている彼らに声をかけておけばいい話をもってきてくれるかも、と思って話をする方も中にはいます。古くから知っている取引業者の営業マンに声をかけるほか、ホテル新築のときの設計士さん、改装業者さんなどに声をかけることもあります。

しかし、取引を成約させるためには、不動産取引を専門にしている不動産業者が「餅は餅屋」で、仲介人として尽力することになります。しかし、ホテルのことを知らない不動産業者さんが仲介すると、これまた話が進まない、なかなかやっかいな物件です。

ところで、競売ならラブホテルが安く買えるのでは、と考える投資家の方も多いです。競売は、土地建物での売買ですから、動産の問題や、営業権の問題などを勘案すると、リスクが高く、任意売買での話でまとまるなら、というところになります。競売でラブホテルを入手して、きちんと新規に営業許可を取得される場合もありますが、予想がはずれて、取得できないとなると、他の用途に使えないなら、何のために買ったのか、となってしまいます。

債権者もそこのところはわかっているので、競売で土地値になるくらいなら、営業権の問題を安心させることで、少しでも高い価格で売ろうとします。任意売買での話し合いになるのです。任意だと土地値というわけにはいかず、投資的にはあと一歩魅力に欠けます。ただし、競売になると土地値ですが、営業できないとなると、手に入れる理由もない。競売で、営業権の見込みが立つ物件なら、意味があるわけですが、営業権の見込みが付く物件は、その前の任意の段階で話が入りまとまることも多いですから、競売までいっている物件というのは営業権について不明であるか、あるいは所有者の方の協力を得ることが難しいものである場合などでしょう。それを買ってラブホテルとして再建しようということは、新規参入の方にはハードルとリスクが高すぎるように思われます。競売で入札するのは、やはりプロの方が自己責任でというのが妥当かと思われます。素人の方が安全に買うなら、プロの方が入札して再建できたなら、その後、再販物として購入されるということになるでしょうか。しかし、その物件は、当然ですが、競売価格では買えません。それでも、立地が良くて、収益の見込みが立つなら、検討されるのもいいでしょう。どうしても、競売価格でという場合は、プロが買う時にかぶるのと同じリスクを背負って自己責任でのぞむことになります。

投資は自己責任といいますが、ラブホテル投資の場合も、もちろんそうです。そして、その程度が一般の収益物件よりも大きいとも言えそうです。土地価値の少ない物件を、銀行評価をはるかに上回る価格で購入して、場合によっては購入後営業ができないかもしれない。再販しようにも営業ができない物件をラブホテル価格で買う方はいないです。となると、土地価値で買う方を期待することになりますが、土地価値がそもそもほとんどないということになれば、二束三文でも売れない物件という最悪の結末もありえるということです。

ラブホテルが玄人の物件であるというのは、このリスクテイクの部分があることからもおわかりいただけるでしょう。金融もつかず資金調達面でもハードルが高いことももちろんですが、リスクをとれるかどうかということの突きつける意味は大きいです。結果的に営業物件の多くはとくに大きな問題なく営業許可が新規にとれている現状ではありますが、必ずとれるということではない。仮に99%とれても、とれないたとえば1%の物件を自分がつかんでしまったなら、この勝負は負けです。資産価値は土地価値。土地価値から建物(ホテル)の解体費用を差し引いたものが、次に売れる価格です。
土地価値も高く、ラブホテルとしても営業ができて、収益性も高い、しかも価格が土地建物の積算価格、というようなラブホテル物件は、わたしが知っている限りはありません。重要なポイントで高条件であれば、物件価格は当然高くなります。その相場感は、一般の不動産業者でもわかりませんし、ラブホテルオーナーも期待が強いだけに、正確にはおわかりになっていないこともあると思われます。(と言っても、自分の所有物の価値は、お持ちになっておられるご本人が本心では一番よくおわかりになっておられるということも、ある面における真実だとわたしは考えております。)

価格や相場について言えば、ラブホテル経営がどういったものか、物件についてもおおむねわかっている、あえて言えば、わたしのような(ホテルについての経験のある)不動産業者が得意とするところだと思います。

 

10年前に売れた価格と今では違います。1年前と今でも違います。当たり前のようですが、細かい値動きは、取引の現場にいないと、実感としてわかりません。市場動向の中で、どう売っていくか、どう買っていくか、ラブホテル投資において、物件の取得価格は何より重要です。どの物件を買うか、ということに、いくらで買うか、をセットできるのは、新規参入者の方には判断するのが難しいようです。さらに言えば、いくらで買うか、は判断できても、いくらなら買えるか、という微妙な際は読み取れないからです。しかし、取得で失敗すると、挽回が大変難しい投資ですから、物件の選定および価格は一層重視していかれるのが賢明だと思います。

慎重になりすぎてもラブホテルは買えない。しかし、無謀なことをして失敗するには金額が大きい。勉強や調査を繰り返しても肌身でわからないから、調べるほど、勇気が出てこなくなる。やってみないとわからない、という結論になります。一度やってみれば、それが成功であっても失敗であっても、何か実感として得られるものがあります。しかし、大儲けしないにしても、失敗を前提に着手する方はいないでしょう。わずかであっても利益がほしいはずです。ところで、わずかな利益しか得られないのであれば、わざわざリスクをとってラブホテルを買う人もいないでしょう。大儲けはできなくても、アパート・マンションよりは利回りが良くなくては意味がないでしょう。

 

21. 不動産取引が活発化。平成25年、ラブホテル物件は流通し始めた

昨年(平成25年)から、ラブホテル物件は活発に動き始めました。長引く不況のトンネルを抜けて、アベノミクス景気と言われる中、東京都内を中心に不動産が高値に動くのと連動しつつ、ラブホテル物件も取引が活発化してきています。ひとつには、ラブホテルも不動産ですから、不動産市況が活発になりますと、貸出したい金融機関が貸出先としてラブホテルに目を向けるようになるからです。金融が付いてくれば、物件は成約しやすくなります。
ラブホテルは原則プロしか買えない物件ですが、不動産市況が活発になれば、新規参入もしやすくなる面はあります。こうした機会に新規参入しラブホテルを取得し、実績を作って、二号店、三号店と展開をされている投資家の方もいます。

物件が底値の時には金融が付かず、なかなか物件を買えません。現金なら買えるかといえば買えますが、市場価格が下がっている時期にはそれに連動する低い価格で買いたいものです。一方売主は売り急ぎでなければ安い時期にはわざわざ売らず、もう少し上がる時期がくるまで待とうか、ということになります。
良い物件は、不動産価格が下がっている時でも、自分では高いなと感じるくらいの価格でないと、なかなか手に入りません。誰しも、高く買うのではなく安く買いたいのですから、ここのところ納得や勇気は案外持てるようで持てないものです。そして、皆が買いにいき、物件価格が上昇してきたところで、買うようになります。どの物件を見ても高いので、まあ仕方ないかと納得できるものの、底値の時期であればもう少し安く買えたのに、という思いは残ります。良い物件であれば、買った後に営業で儲けるという覚悟で、一般的なところで言えば高いなという価格で買っていかないと手に入らないという面が強いです。
裏を返せば、ラブホテルはそれだけ(物件によっては)儲かる物件だということです。営業で儲けた時の儲け方が、アパート・マンションと比べると格段に良いということです。

儲けるためにラブホテルを買いたいのですから、どういう物件をいくらなら買おうか、と考えるものです。考えても物件が出てくるというわけではありませんが、欲しいタイプがわかっていないと、探すのも一苦労です。新規参入される方は、いきなりご自分で始めるのではなく、信頼できる運営会社やコンサルタントを入れて、協力を得ながら、運営の仕方を覚えていくようにするのがいいです。しかしあまりに他人頼りになりすぎると、成長も阻害するものですから、最大利益はとれなくてもまずは自分たちのやり方でやりたいやり方でやれるだけやってみるというのもわるいわけではありません。

ラブホテルを初めて買う方がどういう物件を買えばいいのか、1つの提案としては、収益がきちんとあがっている物をお買いになるのがいいと思います。クローズした、あるいは、老朽化が進み極端に売上が減少したホテルを買って、再建して、成功させるやり方、このやり方は、ラブホテル投資の中でも成功すれば利益が大きいので、魅力的ですが、失敗することももちろんあります。そしてプロでも必ずしも成功するとは限らない投資の仕方になりますので、新規参入される方がいきなり手を出すのはあまりおすすめできません。

いくら改装をかければいくらの売上があがり、改装投資額と物件取得費用をいつ頃回収できるかというのは、プロでも正解するかどうかわかりません。見込みが大きくはずれることもあります。借入で資金を調達した場合は、返済プランは、この見込み数字で立てていますので、見込みを大きく下回ると返済が苦しくなります。自己資金なら、といっても、前提としていた利回りを大きく下回るのでは何のためにラブホテルを持ったのか、という話になります。

そうなると、安定して利回りがとれる物件を市場価格で購入する、というのが現実的な話になります。老朽化して売上が低迷した物件をプロが購入、リノベーションをして収益力がアップした後、その物件をプロから購入するといったやり方もケースバイケース(価格や条件次第)ですが、検討してもいいかもしれません。運営管理や運営サポートの委託についても相談されてもいいと思います。

(売上があがっているホテルはあまり売りに出ませんし、売上があがっているホテルは高いものです。そういうホテルを追いかけ続けているといつまで経っても買えないから、売上が下がっているホテルでも安い価格の物を買うという選択もありえるとは思います。)

営業で儲ける儲け方を知っているのはプロです。効率よく部屋を回転させて、集客を伸ばすことができるノウハウをもっているこのプロたちの腕を自分で持てるようになるためには、本業か専業に近い気持ちで取り組みをしなくてはなりません。副業や片手間ということでは、パフォーマンスが上がりません。ラブホテル・レジャーホテル投資をするということは、手間と労力をかけて儲けるか、手間と労力をかけないで外注に出してその分支出があって利回りが減ってもそれでも普通のアパート・マンション・ビル投資よりは利回りがいいからやる意味があると思うか、そのいずれかの選択になるのではないでしょうか。あとは、利回りがたいしてあがらず儲けもたいしてないけど自分でやれば運営費がかからない、とか、経費削減していていけば手残りはけっこう残る、という考え方に立つかです。しかし、売上をあげて利回りをしっかりとるというのが結局は良いように思われます。となると、ご自分がプロになるか、プロに任せるか、プロの協力を得るか、というところです。任せるにせよ、協力を得るにせよ、ご自分ができるくらいになれば鬼に金棒です。

 

22. だからこそ、みんな楽しく仕事をしようよ。営業で価値が決まるラブホテル

ところで、ラブホテルの従業員はどういう方が多いのでしょうか。近隣の主婦の方が働きにきているということが多いです。フルタイムの方もいれば、パートさんもいます。主婦だけではなく男性もいます。

接客は大切です。お客様あってのホテルです。従業員教育もしっかりおこなわなくてはなりません。ラブホテル営業はとても楽しい、そう店長さんやフロントさんから聞きます。営業努力をすれば、お客様の集客につながり、アンケートなどでもお褒めの言葉もいただけるからです。無言ですべてが終わるようなイメージがあるラブホテルの現場ですが、お客様はよく見ておられます。ちょっとした変化を見逃しません。やりがいを感じて、一生懸命働いている店長さんやスタッフさんは多いです。ルームさんは対人の接客などの仕事はあまり得意でない方も多いように見られますが、真面目にきれいにお部屋を整えることでお店やお客様の役に立っている、そのことが働く励みになっています。

店長さんやフロントさん、ルームさんとお話する機会があります。わたしが一番心を打たれたのは、売却されたラブホテル(レジャーホテル)の店長さんと、明日が残代金決済でお引渡しとなる前夜、お話をする機会があり、言われた言葉です。

「『ラブホテルは底辺の仕事みたいに世間では思われているが。だからこそ、みんなで楽しく仕事をしようよ。』うちの社長が20年前にこう言って。それからずっと、わたしは、みんなが楽しく仕事ができるように。それだけですよ」胸を強く打たれました。
一般的に、テレビドラマなどで、ラブホテルの清掃員はワンパターンな特徴をもって登場させられます。小説もしかりです。フロントも店長の描かれ方も同様ではないでしょうか。
そして、ラブホテルのオーナーは、強欲なステレオタイプ。やはりいいイメージで描かれることは、あまりないものです。

しかし、ラブホテルオーナーは、従業員さんが一生懸命働いてくれるから店が維持できていることに感謝されています。たいていのオーナーさんはそうです。だからこそ、従業員の方もよく働きます。高級車を乗り回して遊んでばかりいるようなオーナーさんは実際にはどのくらいいるのでしょうか。

ラブホテルは、24時間営業なので、スタッフのシフトも、丸一日働いたら次の日明けで休み、その次の日が公休、タクシーの運転手さんのようなシフトのところも多いです。昔ながらの勤務形態であれば、ほとんどが24時間制です。24時間制はかえって効率がわるいと考えるオーナーの店では、日勤、夜勤、深夜勤とか、12時間制×2交替、のようなシフト制を採用しているところもあります。24時間営業なので、日勤だけではすみません。夜も営業しているということは、従業員が詰めているということのほか、オーナーも一日中店が気になります。なにかあれば、陣頭指揮をとるために駆けつけなくてはなりません。日銭商売ですから、売上金の管理だけでもけっこう大変です。従業員にお金のことを完全に任せるということはできません。
日銭商売のラブホテルは、お金の管理は、オーナーがしっかりやるべきです。あるいは、オーナーがほんとうに信頼できると思う人に任せるべきです。飲食店も同じようですが、現金で入る日銭商売の場合は、お金の管理をオーナーがしっかりしていないと、気がつくと、裏切られていたということがあります。人を見たら泥棒と思え、ということではないですが、お金の管理は、オーナー自らがおこなうこと。あるいは管理を外注に出すなら、信頼で成り立つところに委託することはもちろん、適切にチェックできる体制をとれるよう管理会社とよく取り決めをしておくことが望ましいです。

管理会社を入れず、信頼できるご親族などの方や本業などでの部下をマネージャーとして入れて、管理運営される場合もあります。適任の方がいれば、自社管理の方をいいとお考えになるオーナーもおられます。

ラブホテルは、不動産投資の中でも、たいへん難しい投資物件だと思います。それは、土地建物の価値ではなく、営業で価値が決まるからです。(もちろん、土地の価値や建物の築年数などの意味するところは大きく、担保価値があるほど進めやすく、無いほど、借入はハードルがあがるという一般的な判断は、いずれの場合も付いて回ると言えるでしょう。)営業で価値が決まるものにたいして、不動産として売買するから、このギャップが難しいのです。ギャップがあるから、金融機関も融資の際に、適正に評価することが難しいのです。よくわからないから、査定も厳しくなりがちです。あるいは、よくわからないから、いいなりになってしまうという逆の面もないとはいえないかもしれません。

 

23. 投資のレベルは高いが。ラブホテルは営業で儲ける良い(いい)『日銭商売』

ラブホテル投資をしたい方や関心のある方から時々聞かれることの一つに、「どんな人がやっているの?(怖い人がやっているの?)」といった類のことです。この手の質問に関しては、私は基本的に「ノー」です。なぜなら、ラブホテル経営は、1組客単価数千円で、毎日、部屋を埋めていく、かなり細かい仕事だからです。一気にバンと大金が入ってくるわけではありません。儲かるといっても、毎日の営業の結果です。そしてそこには経費の支払いもあります。一攫千金を秒速というわけにはいかないのです。コツコツした営業の成果としての報酬となるから、面倒なことはやらない人や一攫千金を狙いたいというようなタイプの方には合いません。客商売ですからクレーム対応もありますし、建物が古くなると雨漏りや設備の故障など次々にメンテが必要で、そのたびに業者さんを手配するなどしなくてはなりません。客商売ですので、下手に出ながら、サービス精神旺盛でいなくてはなりません。こうしたラブホテルの営業の実態を考えると、あまり率の良いおいしい商売とも言えないわけです。
不況が続いてきたためお客さんの財布の紐も固くなっていますから、「ホテルを建てれば儲けた時代」と同じようなやり方ではうまくいきません。殿様商売でやっていかれるはずがないのです。

利回りが良いといっても、ざっと言えば、NETで15%とか、成功例でNET20%くらいのものです。
株などで儲ける方が儲け方としては率がいいのではないかと思います。しかし、ラブホテル一棟物は投資の額が大きい。なんせ、一棟何億円ですから。投資の額が大きく、資産で持てるために、中長期にわたって、儲けが得られる。そこが、不動産投資の魅力です。しかも、普通のアパート・マンションやビル投資では、実質利回りで15%~というのは、まずありません。仮にあったとしても、たとえば土地が借地であるなど、内容が異なります。ラブホテルの場合は、所有でNET15%、グロス(表面利回り)で30%というのですから、やはり、利回りとしての魅力はとても大きいです。(半面、設備や改装投資のサイクルも早いのが特徴です。)

新規参入が難しい、参入障壁があるということは、入ってみれば寡占であるということにもつながります。大企業などはコンプライアンスの問題から参入してきません。そして、チェーン店というのもそれほど多くはないですし、1つのチェーン店でもっている店の数は管理受託の物件を入れて150棟くらいまでです。圧倒的に、数店舗だけ、1店舗だけの経営が多いです。10店舗も持っていれば、大きい方だというのがラブホテル(レジャーホテル)業界です。わずかなチェーン店だけが生き残っているというほかの業種と比べて、1店舗でも儲けることができる業種というのは昨今においてはとくに、それほど多くないように思います。ラブホテルは1店舗で儲けることができます。そして、アパート・マンション・ビル投資より良い利回りが得られます。閉鎖的な業界であり、売買物件の流通も限られていますが、1店舗持つことができれば、そして真面目に経営、運営をしていかれれば、儲かる良い(いい)商売だと思います。(とは言え、人口の減少・超高齢化社会などの時代の流れや、老朽化による営業の限界などの懸念はあります。)

他の業種同様、安売り合戦に入ることはあります。同じホテルエリアの中で、1店舗が室料を下げると、そこにお客さんをもっていかれるので、ほかの店も値下げで応戦することになります。しかし、ここを耐えて値段を下げるのではなく、基本的なサービスを充実させていくような方策を見つけていくことで、半年くらい経てばまたお客さんが戻ってきます。やはり古巣の方が落ち着くということがあるのです。
とくに、オーナーが変わってリニューアルオープンしたホテルは、派手なことを仕掛けることが多いです。リニューアル記念と兼ねて、値段も安く提供したりします。ホテルエリアの集客を一時に持っていこうとするのです。こういうやり方もあるものの、料金のディスカウントは結果的に自分の首を絞めることになるから、次第にそのホテルエリアに馴染んだやり方をとるようになり、ホテルエリアのそれぞれの店舗は持ちつ持たれつでやっていかれるわけです。

極端ないい方になるかもしれませんが、チェーン店しか生き残れない他の業種(営業)とは異なり、ラブホテルは、一店舗であっても単独で生き残れる余地を感じさせる、そういう意味でも新規参入のしがいはある業種だと思います。とはいえ、やはり多店舗展開することによるスケールメリットはあります。今後ラブホテルの老朽化、経営が一層難しくなる時代がきた時に、生き残り継続できるのはスケールメリットのあるチェーン店のうちの一部の勝ち組かもしれないと思います。
ラブホテル業は、ラブホテルという施設(物件)を運営して日銭を稼ぐ商売です。ですから、そこには運営ノウハウというのが必ずあり、ノウハウを生かせるところが勝ち組になるのだと思います。

平成26年5月20日
著者 
カズシン株式会社 
代表取締役 山内和美

※この文章『資産を活かして日銭を稼げる「良い(いい)商売」・ラブホテル業について』は、カズシン株式会社 代表取締役 山内和美が書いたものです。(無断転用は不可とさせていただきます。)