カズシン・ブログ

カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。

レジャーホテルからマンション(レジデンス)へ。一つの流れを感じます。

2021.10.30

レジャーホテル(ラブホテル)は、概してその高い収益性のため、高値での売買で取引されてきました。

しかし、レジャーホテルも他の不動産と同様、二極化、三極化が進んでいるようです。

レジャーホテル経営は、他の事業や他の不動産投資と比べて「儲かる」のでしょうか。もちろん儲かるホテルも一部ありますが、全部のホテルがいいわけではなく必ずしも収益がいいとも言えない状況も現実にあります。

レジャーホテルは収益還元で見られる物件です。

収益が落ち込めば、売買価格に影響します。ただし、改装投資や運営改善によって売上を戻せるホテルの場合、今の売上だけで判断されるとも言えず、過去の売上で売却価格が決まる傾向があります。買いたい方は、今の売上に基づいた価格で購入したいところですが、売る方がそれではお売りにならない場合、高いとは思っても、他に物件もなければ買う決断をされます。

とくに、たとえば東京の繁華街、駅近立地などは、代わりの物件もあまり売りに出ないこともあり価格は高めで取引されます。

マンション用地などにしても良さそうな立地のレジャーホテルもたくさんありますが、マンションを建てるための用地としてディベロッパー等が購入するには、おおむね価格が高すぎます。ホテル売買の相場が高いため、マンション用地で買うと割に合わず基本的にはやはり次もホテルとして経営する方に買われます。

ところが、たとえば東京の駅近、前面道路が広く大きな物件が建つ立地などにおいて、また、土地の価格、マンション価格が高めに推移している場所でとくに、ホテルの相場価格(相場の価格にも幅がありますが)で買ってもマンション用地として収支が合うケースがあります。レジャーホテルはマンションにしても需要がある場所に建っていることも多く、購入後解体されマンションが建つ場合もあります。以前からこうした例はありましたが、これから、一層この流れは続いていくように思います。

隣がレジャーホテル(ラブホテル)、向いもラブホテル。そうした立地にあるレジャーホテルが売られマンションが建つ、という例がこれから増えていくのではないかと思うのです。

レジャーホテルとして収益性が非常に高く、物件が希少であり、マンション用地としては価格が合わず全く手が出せない、となると、やはり次の買い手もホテル経営を目的とされるのでしょうが、そこまで条件が揃っていないレジャーホテル物件の場合、ホテルとして買われることもあれば時にマンション用地として買われるケースも出てくるでしょう。あるいはレジャーホテルとして一旦買って、ホテルとしての経営が厳しくなれば、マンションにしてもいいという前提で購入しているケースもあるでしょう。

日本がこのまま沈んでいくかもしれない危機感が残念ですが解消されない時代において、厳しいのはレジャーホテルばかりではありませんが、人口減少、若者が少なくなっている(他の理由も諸々あるでしょう)ことなどからも、レジャーホテル(ラブホテル)は全体としては縮小していく傾向にあるのだろうと思います。

需要と供給の面から軒数が多すぎるとなれば、競争の中で淘汰されるホテルも出てきます。たとえば東京であれば、近隣の競合と戦うのをやめて、ホテルとしての再建は諦めマンション用地として売っても、希望に近い価格で売れる立地があります。場合によっては、地上げの対象ともなり隣と一緒にまとめて買われることもあるでしょう。

 

ホテルとして将来的にも収益を得ようと考えるケースと、用地の需要の高さ、マンション需要に対する当ホテルの立地の強さに目を向けて、方向を転換するケースもあるのでしょう。とくに老朽化したホテルなどでは、減少してきた売上について考え改装して売上を戻すのか、それともマンション用地で買いたいこの話に応じるのか、といった判断をする場合もあるでしょう。

 

レジャーホテルは、家族経営のようなところ、1店舗のみ経営しているところなども多いです。一部にチェーン店もあり増えてきている印象はありますが、限られています。

レジャーホテルのチェーン店は、数の力(保有軒数)を生かして効率のよい合理的な経営、運営ができます。そうしたチェーン店は、物件を買い増していきながら、勢力をもっていくのだろうという気がしています。売り物件が出るとチェーン店が購入する、そういう傾向は以前からありましたが一層特徴的になっているように感じます。

そうなると、チェーン店が強い状況の中、個人(チェーン店ではない)店の中には競争することが苦しくなり手離す決断をするケースもあるでしょう。ホテルの老朽化や後継者の不在など、業界を見渡しても課題はあります。

イメージ的に、傾向として一部のチェーン店の勢力が大きくなり、先代から受け継いだ個人店(チェーン店ではない)などにおいては中にはチェーン店に売却されるか、マンション用地になる、あるいは地方の土地の値段が付かないようなエリアにおいては売却先が見つからず閉店(廃業)するケースもあるでしょう。

チェーン店が保有しているホテルの中でも、同様に、売却されたり、マンション用地に変わったりするケースもあるでしょう。

 

高度成長の勢いに乗って、建てれば儲かったラブホテルの時代から、ラブホテル(レジャーホテル)として継続するよりもマンション用地(商業ビル用地の場合もあります)にする方が需要に合う、そういうケースが見られるようになっています。

いい場所に建っているレジャーホテル(ラブホテル)の土地は価値が大きいです。収益性の高さからレジャーホテルとして稼いできた土地が、マンション用地として高値で取引される、そういう時代がきています。

レジャーホテルは事業として継続して収益をあげていくのでしょうが、競争が激しくホテルとして収益をあげることが厳しくなったホテルにおいてマンション需要の強い土地においては、ホテルとして買いたいところばかりではなく用地として買いたいところの競合が起こります。

ホテルエリアとして知られていた、あるエリア。ホテルの数が減り、ホテル跡地にマンションが建っている。そういう流れが出てきています。

コロナウィルス感染症の影響により、レジャーホテル経営(ラブホテル)もダメージを受けています。売上減少がきっかけとなり、手離す例もあります。マンション用地を探しているところはコロナ禍においても活発であり、用地の取得価格は(場所によりますが)高値で動いているため、マンションに建て替わるホテルもあります。

コロナ禍前から、同様な動きはありましたが、コロナ禍において一層そのように感じます。アフターコロナがきても、この流れは変わらないだろうと思います。

淘汰の時代、レジャーホテル産業もその時代の中で模索を続けているのでしょう。もちろん残るところは残ります。そして、変わる風景もあり、ずいぶん久しぶりにそのホテル街を歩いてみたら、ずいぶん変わったと思うことがあります。

仮に増えすぎたとするならば、軒数は、このような流れにおいて調整されていくものなのでしょうか。マンションも増えすぎているとも言えそうですが、レジャーホテルが建っている立地は希少であり、駅から遠いマンションがある意味淘汰される可能性は出てきたとしても、レジャーホテルの土地は、立地によって、一層価値をあげていくのだろうという気がしています。

レジャーホテルはそうは言っても収益から言えば魅力があるため、売上減少し、高値で買いたい話に応じ一旦ホテルを売ったとしても、買い替え資産はやはりレジャーホテルを探している、という話はよく聞きます。それくらい手離すのが惜しい物件であるとも言えるのでしょう。それでも、ホテルとして売るのではなく、マンションなどの用地として売るという選択をするということは、ホテルの収益性よりも土地の価値で手離したので採算がとれる、それだけ土地の価値が大きく見積もられるケースもあるということなのでしょう。

立地によってはそういうケースもありますが、一方、土地の価値は大きくなくホテルとしての売買でないと売る意味がないというホテルもあります。道路付が良くない場合などは、土地の価値は制限されることになります。

 

コロナウィルス新たな感染者数が落ち着いてきており、このところ外へ出る日々を少しずつ日常に戻しつつあります。現地確認のため、ホテル物件を見に行くようになりました。電車に乗ることも極力避けていましたが、電車に乗って売り物件を見に行く、今週、ようやくそういう私の日常が再開したのだと実感しています。

コロナ禍、静かに過ごしている日々において内向きになり、時間の感覚も質が変わっていたような気がします。外へ出てみると、世界は変化しているのだと感じます。

皆さんは、どのように過ごされていますか。

 

カズシン株式会社

代表取締役 山内和美