カズシン・ブログ

カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。

立ち退き交渉のある物件は。コロナショックで不動産は。不動産はご縁です。弊社の理念。

2021.06.12

お話が入ったので売り止めと聞いていた古ビルですが、双方折り合い付かず、お話が流れたそうです。理由は、1店舗立ち退きの合意がとれていない店があること。売主様はこの1店舗に関しては立ち退き交渉を断念、現況での売買を条件とする一方、買主様が融資を相談した金融機関は立ち退きが残った状態では融資できないそうです。

この点で折り合い付かず、この案件は、再びオープンに。

本来は、売主様が立ち退きの話を付けてからお売りになるのがいいのでしょうが、難しいところがあるからこそ、価格を下げて売り切ろうとしているのでしょう。買主様は限られてくると思います。自分で交渉して立ち退いてもらえるところとなると、買えるところはおおむね決まってくると思います。

オープンになったので、私も買主様を探そうと、まずは自分の頭の中を一巡します。なかなか難しいです。とくに立ち退きが問題です。物件としては魅力があるので、気になります。

 

ところで、同業者、リーマンショックの前に古いアパートを購入(仕入れ)、更地にして転売予定でした。立ち退き交渉が長引いている中でリーマンショックがきて、急に不動産の価格が下がり、苦しんだ同業者がいます。

その同業者はそれ以降、立ち退きが前提となる物件、立ち退きが必要となる案件に関しては、気が進まないようです。

人は、自分が経験することで、変わっていきます。

立ち退き一つとっても、うまくいった経験がある人、失敗した経験がある人、関わったことがない人、いろいろです。失敗しても最終的には大きな痛手にならなければまた違うのでしょうが、立ち直れないほどのダメージを受けた場合などは、二度と手を出したくないと思うものでしょう。

難しい物件はうまくいけば利益も大きいでしょうが、失敗すると損も出る。リスクが大きい物件は、そのリスクをとれる人が手掛けるものですが、リスクの大きさは実際のところやってみてはっきりするところもあり。リスクを大きく見積もるか小さく見積もるかケースバイケースとしても、見積り通りにいかないからこそ、人は失敗をするものでしょう。だから、リスクをとって成功した人は大きなリターンを得る。当たり前のことですが、成功するということは、大変なことなのだと再認識します。

 

さて、コロナショックで不動産価格がどうなっているのか、どうなるのかですが、イメージとして、上がる物件、下がる物件に分かれるのだと思います。さらに、維持(変わらない)傾向の物件を入れて、結局当たり前みたいな話となるとしても、やはり3つに分かれると思っています。維持される傾向の物件もどちら側に触れるかによって、まずは大きく2つ。上がるか下がるかの括りに入れて。

全部が上がる、全部が下がるというようなことではなく、二極化として、立地や物件によっては上がり、一方立地や物件によって下がる。

コロナショックの前からの傾向でもありますが、二極化がポイントだろうと思います。需要があり投資対象として適した物件や土地は強く、そうでない物件は弱い。

 

コロナショックを受け、混乱があり、上がり傾向であったところの下降も見えます。たとえば、飲食店の空室が目立つ商業ビルやホテルに適した商業地などの立地はとくに、コロナショックによるそれぞれの影響がありそうです。

賃料の下降は売却価格に関わってきます。売却価格が下がるならば、売らないで耐えて持っておこうということもあるので、安くなるとばかりは言えないとしても。また、以前はホテル建設予定で買われるのが一番高かった土地だったとしてもホテルの新築の需要がなくなれば、ホテル用地としての値段は付きません。

物は需要に応じて値段が変わるわけですから、不動産(土地建物)も需要が強いか弱いかによって、市場で強気でいられる時と弱気になりそうな時があります。しかし、いずれ時間が経てば値段が上がる(持ち直す)と考えられている物件(立地が良いなど)は、市場が弱気になっている時でも、弱気にならず、高い価格で売り切るところもあります。不動産の価格は今だけではなく、未来を見ているからでしょう。

 

中古の区分マンションで、とくに買取再販(転売)できる物件は、東京では不足していて競争になっています。不動産業者も実需の個人のお客様も一緒になっての競争と言えそうです。ただし、買取再販できる物件は、市場に出る前に不動産業者が購入しているケースも多いです。そうなると、市場に出る物件には、業者が買うには(とくに買取再販で)何かしら難しいところもあります。

不動産業者が仕入れてリフォームして利益を残して転売できる物件となると、買える(仕入れの)値段には限度があります。

リフォームにかけられる費用も限られます。

私もリフォームして再販に向く物件にご縁があれば、ちょうどいい機会があれば、と思っています。しかし、思うようにはいきません。買取再販が事業の柱である不動産業者さんとは異なりますので、当然です。これはと思う物件が無い中で無理に進んでもいいことはないので、いずれタイミングが合う時が自然にきたら、その時に、という気持ちでいます。物事には機が熟するということがあります。物件との出会いなどは、その時期がこない限り、無理をするものでもないように思います。

不動産屋の多くは、今回は「ご縁があった」「ご縁がなかった」という言葉を使います。「ご縁があれば」もよく使います。

物件と私の関係は、「ご縁」の関係でしょう。物件とお客様もそうだと思います。

仲介をしていると、売主様と買主様の間もご縁だと思います。売主様と私の間も、買主様と私の間もご縁です。

不動産業をしているとどれほど頑張っても、成約しないこともあります。そういう時、「ご縁がなかった」のだと、思えれば、後に残りません。いい時もわるい時もあるこの仕事を続ける上での知恵でしょうか。

思う通りにならないのがこの人生。自分自身でさえ思う通りにはならないのですから、その他のことで思い通りになることは、数えるほどだと思います。

 

最近、ある人から、「企業理念(弊社の理念)はありますか」と聞かれました。

「とくに考えていない」と答えたところ、「一度考えてみるのもいいですよ」と言われました。

そこで、考えてみたのが、次の通りです。

【弊社は、不動産と企業や人々の幸せな関わりの実現のために、不動産で人を幸せにする未来像を掲げて、人の気持ちと不動産がわかるを自社の価値観とした会社です。社会的課題である不動産業界の不透明さを解消するために、いいこともわるいことも最初に伝えるを自社のミッションとして取り組んでいます。】

 

皆さんの会社には、理念はありますか。

皆さんはどのような理念をお持ちですか。

 

カズシン株式会社

代表取締役 山内和美