カズシン・ブログ

不動産業界20年を越えて この経験に基づく~物件論

地方の中古一棟収益マンション スルガ銀行の融資 積算評価

2018.06.06

スマートデイズ(旧スマートライフ)の「かぼちゃの馬車」のように、サラリーマン大家さん(個人投資家)は、主にスルガ銀行が融資してくれる物件を購入するという一連の流れが出来上がっていたと言えそうです。

またスルガ銀行も、サラリーマン大家さん(個人投資家)が購入できそうな物件に融資をすることとなり、その1つが地方の中古一棟収益マンションだったと思われます。

東京都内の物件は価格が大変高く、また競争相手が多いため、物件を手に入れるのも大変です。

仮に手頃な物件だと思っても、古くて耐用年数の面で融資対象となりづらく、あるいは空室が目立つなど、利回りが低くて収益性が望めない、といった具合で、金融機関の融資対象と合致しないことが多いです。

耐用年数が長く、まだ残存年数がある物件で、金融機関が融資しやすい新耐震以降の物件で都内ほど物件が高額ではなく、目立った競争相手(不動産業者が手を挙げるなどの)のいない市場といえば、地方の中古一棟収益マンションと見なされたのでしょうか。

利回りの点で言えば、東京よりは高利回りの数字が並ぶものの、空室リスクは高く、そのリスクを考慮すると、多少利回りが高いように見えても、やはりあまり積極的に購入したいと思われない物件も多いのではないでしょうか。

しかし、サラリーマン大家さん(個人投資家)はスルガ銀行が融資をしてくれるといったことも一つの強みにして、地方の一棟収益マンションを購入した方が多くおられるようです。

地方の物件は積算評価は高く出がちです。とくに建物がそれほど古くないRC(鉄筋コンクリート)造の場合には、建物の価格が大きくなるので、地方で土地の価値があまりない(価格が大きくない)物件でも、積算(土地価格+建物価格)により、評価も高めに出るという感じです。

しかも、スルガ銀行は、他では融資しないような地方の古い物件に対しても融資をすることも行いました。耐用残存年数を超えて、長期での借入を可能とすることで、古い物件についても、サラリーマン大家さん(個人投資家)は購入検討することができるようになりました。

このような流れの中で、地方の中古一棟マンションを購入したサラリーマン大家さん(個人投資家)は多数おられるようです。

私のところへも、そのような個人投資家の方が「ホテル(レジャーホテル・ラブホテル)の売り物が出ているのだが、どうだろうか?」といったご相談をいただくことは、時々ございました。

スルガ銀行は、レジャーホテル・ラブホテルについては基本、融資しないという見解に見受けられ、個人投資家からは「どこか貸してくれる銀行はないだろうか?」といったご相談もあわせていただくことになりました。

レジャーホテル・ラブホテルに融資する銀行(金融機関)は限られており、新規参入の個人投資家が借り入れをするのはハードルは高いところがありました。

また、通常の収益物件と同じような見方から、とくに利回りが高い特長に引かれてレジャーホテル・ラブホテルを購入・所有したいという意識の方が多かったように感じられました。

通常の収益物件とレジャーホテル・ラブホテルはかなり異なるのと、融資のハードルが高いことなどをご説明し、わずかな例外を除いては、おすすめするのが「難しい」ということで、ご理解をいただきました。

「難しい」とご説明をすれば、あきらめられる方がほとんどでした。このような個人投資家の皆様に対しては、本来であれば、地方の古い一棟収益マンションなども「難しい」とご説明をして、おすすめしない方が良かったケースも、市場に出ていた物件の中にはあるのではないかという気がしています。(いろいろな観点から、おすすめして喜ばれることになった物件もなかったわけではないと思います。)

地方の古い一棟マンションをフルローンに近い借り入れをおこして購入するというのは、全部とは言いませんが、かなりの割合で苦労を背負い込むようなところも無きにしもあらずと、思われます。

スルガ銀行が地方の中古一棟収益マンションの融資に関しても、スマートデイズ(旧スマートライフ)の「かぼちゃの馬車」同様、書類の改ざん(自己資金額等)を行員は知っていた、といった記事が最近出ています。

また、スルガ銀行に物件を持ち込んだ(融資付)仲介業者等の中には、実際は空室がかなりあって、その分現況利回りも低い物件(借り入れをおこしても、満足に返済が見込めない)であるため融資が通らないだろう物件についても、空室率をおさえたレントロール(家賃収入)に書きかえて審査が通ったといったケースもあったとか。

スルガ銀行の行員の関与の程度がどのくらいなのかわかりませんが、サラリーマン大家さん(個人投資家)との話がどのようになっていたのかも不明ですが、不動産仲介業者がそのようなことをしたのだとすれば、大変問題です。不動産の免許(宅建免許)を持たない不動産ブローカーも動いていたようですので、実態は何がどうなっていて、どちらがどうだったのかなど、詳しいところまで含めてわからないと何とも言えませんが、ともかく、そのようなことをしたとしたら、大変な問題だと想います。

しかし、不動産業者(仲介業者)もいろいろあって、エリアや得意不得意、好き嫌い、価値観、収益の上げ方ほか、といったところから、ある種の住み分けも兼ねて、分かれております。

サラリーマン大家さん(個人投資家)にスルガ銀行の融資を付けて、地方の中古一棟収益マンションを仲介で売る、もしくは、スマートデイズ(旧スマートライフ)の「かぼちゃの馬車」等新築シェアハウスを売る(販売代理、仲介)ということを中心におこなっていた不動産会社さんはたくさんあると思われます。

本来、不動産投資は、リスクがあるものとして、金融機関も融資する対象はしっかり選別をしていたはずですが、不動産投資がブームとなる中、サラリーマンの手堅い収入を持つ高属性の会社員の方々が続々、個人投資家として参入してきた。

貸したい金融機関は、貸せる物件、貸しやすい物件、貸せる条件などのラインを引いて、できるだけ融資をおこなった。

ただし、銀行が貸せる相手に貸せる条件で融資を行うことは、本業として間違っていないと思います。(書類の改ざんなどは論外ですが)

借りたい個人投資家の方々も、不動産業者も怖くて買えないような物件(出口がない、収益が立たない、返済が見込めない)でも、驚くほどの勇気を持って突っ込んでいった。

個人投資家に融資をするスルガ銀行の存在を背景に、融資が受けられさえすればある意味何でも買うといった個人投資家の価値観を見据えて、不動産業者等(不動産ブローカーも動いていたようです)が、忙しく物件をすすめていった。

中には、三為契約(さんためけいやく・第三者のためにする契約)で、中間省略で利益をとる不動産業者もいました。

なんだかお祭り騒ぎのように、スルガ銀行・サラリーマン大家さん(個人投資家)・仲介業者(スマートデイズなどの不動産会社を含む)が円陣を組んでボール投げでもしていたようなイメージも出てきます。

それだけ、今回の件(スルガ銀行、スマートデイズ破綻)まで、不動産投資熱の過熱が続いていたといえるのでしょうか。

なお、スマートデイズ(旧スマートライフ)の「かぼちゃの馬車」についていえば、不動産仲介業者が相当わるいように取り上げられているようですが、不正をしたり、買主様が失敗するのをわかっていながら「いい話」ばかりして、無理にすすめたりしたのであれば、もちろんわるいです。

 

70社ともいわれる仲介業者がスマートデイズ(旧スマートライフ)の「かぼちゃの馬車」をサラリーマンの方々(個人投資家)に売ったようですが、最初はこれだけの仲介業者による取扱いはなかったと思われます。

休みなく販売していかなくてはならない状況(どんどん用地を仕入れて、どんどん建てて。すでに建ち上がっているシェアハウスの家賃保証に充当しなくてはならない、といった、資金繰り上の理由があったのかもしれません。)があったのでしょうか。

本来であれば、仲介に出せば仲介手数料分利益が減るため、外部の仲介業者に出す場合には理由があります。仲介料を支払うことで、販売力を強化できたということでしょうか。

仲介手数料やコンサルフィーなどで儲かるからということで集まってきた不動産会社や不動産ブローカーの方たちが、目的は「売ること」で一致して、突き進んだ。その跡地には、家賃保証もなくなり、空室が埋まらない、スルガ銀行への返済にも窮することとなった、シェアハウスがサラリーマンの方々(個人投資家)の手元に残された。

書類の改ざん等は、外部の仲介人らが勝手にやったことなのか、それとも、仮にスマートデイズ(旧スマートライフ)の関与があったのか、など、これから、今回の件が調査され明らかにされるとともに、全容が見えてくるものだと思います。

不動産投資が過熱した後は、毎回、その後片付けに時間がかかるようです。そして、多くの方のその後の人生が変わります。

こうした機会に、「不動産」の投資は、失敗した時のリスクが高いので、やはり、簡単には手を出してはいけないものだということを多くの方は再認識されます。

それでも、また、忘れた頃に、不動産投資ブームがやってきます。

奈落の底に突き落とされることもある不動産投資には、冷静さが必要だと思います。

カズシン株式会社

代表取締役 山内和美